年の瀬恒例、繊研プラスのメールマガジン読者が選んだ2017年の業界版流行語大賞「ファッションバズワードトップ10」が決まりました! 今年もファッション消費市場が全般に低迷したこともあり、これといったアイテム名は登場せず、ビジネス用語やインターネットを通じたサービス名が多くランクインしました。
2017年に繊研プラスに掲載された記事や流入検索ワード、記事ランキングなどから10のワードをノミネートし、メルマガ会員に投票してもらいました(投票期間は2016年12月1日~12月5日の5日間)。
☆...10位 ウェアラブル
10位は、身に付けられるという意のウェアラブル。時計や眼鏡に始まり、最近ではテキスタイル分野で広がりを見せています。スマートテキスタイル(ファブリック)は、その名の通り、"賢い生地"。心拍数やカロリー消費量などを収集し、自身のスマートフォンなどで管理し、生活習慣の見直しにつなげたりできます。健康意識の高まりも背景に、市場開拓に各社が競っています。
☆...9位 C to C
C to Cは、Consumer to Consumerの略で、インターネットを介して、個人(消費者)間で契約や決済を行い、モノやサービスを売買すること。「メルカリ」や「ラクマ」「フリル」「ミンネ」などフリマアプリを使った取引が良く知られていますので、アプリの具体名を挙げればもう少し順位が上がったかもしれません。
広義には、民泊やライドシェアなどのサービスもC to Cです。経済産業省の調査(2017年度)によると、16年度の市場規模は3458億円に達し、「ヤフオク」などネットオークションの1/3程度の市場規模だそうです。
☆...8位 ビッグデータ
世に「ビッグデータ」という言葉が出始めたのは10年頃。クラウド環境の充実などによってその言葉は急速に広まりましたが、その使われ方は様々。従来のデータベースとは異なる大量のデータを扱う事は分かっていても、どのようなデータを扱い、どんな効果があるのかは、正確には知られていないようです。明確な定義もないようで、いわば、マーケティング用語として情報通信のベンダーさんなどが多用している、という面もありそうです。
☆...6位 プレミアムフライデー
同数で6位にランクインした「プレミアムフライデー」、略称プレ金は、日本国政府と経済界が17年に提唱した個人消費喚起を目的としたキャンペーンです。2月からスタートしました。月末の給与支給日にあたることの多い最終金曜日は午後3時に仕事を終え、旅行や買い物などにあててもらおうというものです。実際の導入企業はまだまだ少数ですが、一部には定着してきたとの声もあります。
☆...6位 働き方改革
安倍晋三首相が16年9月に内閣官房に設置した「働き方改革実現推進室」で提唱されました。ひと言でいえば「一億総活躍社会を実現するための改革」で、少子高齢化が進むなかでも人口を維持し、職場や家庭、地域で誰もが活躍できる社会をつくろうというものです。ファッション業界内でも、各社なりの「働き方改革」が提唱され始めました。
☆...4位 ファーフリー(エコファー)
ファーフリーは、ファーから自由になる、つまり離れる、距離を取る、ということから(リアルファーを)使用しない、という意味になります。贅沢品の象徴のようなファーを、グッチが18年から使用しないという「ファーフリー宣言」が話題となりました。ステラ・マッカートニーやパタゴニア、日本ではユニクロやマッシュホールディングスも使用しないことを明らかにしています。
それに代わって、エコファーを使用するブランドが増えてきました。その多くはアクリル(系)の糸を使っているため、耐久性が高く発色性に優れているのが特徴です。
☆...4位 IoT
「モノのインターネット」と訳され、様々なモノ(物)がインターネットに繋がり、情報交換することで相互に制御する仕組みのことを指します。卑近な例えですが、冷蔵庫の卵が指定した数以下になると、自動的に注文が業者にわたり配達に来てくれる、といえばイメージが沸くでしょうか。
IoTと8位の「ビッグデータ」は密接不可分で、ビッグデータの収集はIoTのキモになります。ネットワークに繋がるデバイス数は急増し、20年には1人当たり約6.6台、世界で500億台に達すると予測されています。あらゆるモノが繋がり、膨大な情報のやり取りを通して課題解決に繋げようという試みです。
☆...3位 袖コンシャス
ようやくファッションらしいバズワードが登場しました。バルーンやノット、ベルなど多様な袖を意識した≒袖コンシャスなスタイルが女性市場で注目を浴びています。
☆...2位 AI
Artificial Intelligence、つまり人口知能がAIです。17年は月を追うごとメディアでの扱いが増え、一般人の口にも頻繁にのぼるようになりました。人工的にコンピューター上で、人間と同等の知能を実現させようという試みです。
☆...1位 SNS(インスタ)映え
もはや、説明不要のバズワード。とりわけ「インスタ映え」はバズワードとしては堂々ぶっちぎりの1位でした。盛者必衰は世の常ですから、来年もみなさんが口にするバズワードとして残るか否か。答え合わせは1年後と言ったところでしょうか。