デジタルメディアが小売業に進出する理由(WGSN)

2017/06/29 14:31 更新


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デジタルメディアの動きに敏感な人はもう気づいているかもしれないが、ファッションエディトリアル系のウェブサイトがEC経由の販売を始めている。

Leandra Medine が立ち上げたライフスタイル&ファッションサイトMan Repellerは、今年3月、ニューヨークのチャイナタウンにある新しい小売スペースCanal Street Marketに、#MRBazaarという名前でポップアップショップをオープンした。

これはファッションエディトリアル系のMan Repellerが同サイトのコミュニティに実際に触れる良い機会であり、Man Repellerステッカー(5ドル)、Man Repellerハット、Net-a-Porterとのコラボによるフットウェアなどの商品を販売した。デジタル戦略に長けたMan Repellerは、Instagram Storiesで3月を通してこのプロジェクトを祝った。




2016年11月、New York MagazineはワンストップECポータルを開設。これは雑誌の人気コーナーThe Strategistのネット版で、エディターおすすめのアイテムを購入したり、ギフトにぴったりなアイテムを見つけたりすることができる。

昨年9月のファッションウィーク前、デジタルファッションコンテンツサイトFashionista.comは、同サイトのネットショップでファッション系の商品を発売した。エディターたちは、昨夏、小売の実店舗で大人気を博したツアーグッズ風アイテムについて、一足先に情報を発信していたことに気づき、トレンドに関する自分たちの知識を活かして、このカテゴリーの独自商品を開発することにした。

 



「最近は#merchについての記事が多いので、私たち自身でニューヨークファッションウィークのタイミングに合わせて商品を打ち出すことに決めました」とエディターAlyssa Vingan Kleinは説明する。「遊び心溢れる小規模なコレクションを手掛けました。ポップカルチャー的なセンスに、ファッションと政治の話題のトピックをミックスしています。例えば業界を揺るがすシーナウ・バイナウや11月の大統領選挙などです」(Fashionista 2016年8月16日記事抜粋)。




ライフスタイル系ウェブサイトRefinery29は絵文字アプリAltMojiをリリースした。



 

ニューヨークの海賊ラジオ局Know-Waveは昨年、カルト的な人気を誇るロゴTシャツを発売した。


小売業への進出で最も話題を呼んだのはStyle.comだ。ランウェイ情報発信サイトから始まり、大規模なコンテンツサイトへと成長を遂げ、今度はラグジュアリーなECに焦点を当てる。

なぜ今ECを展開するのか?デジタルメディアはパーソナルなブランドを築こうとしている。革新的な戦略をとり、飽和状態の市場において競争に勝たなければならないのだ。小売業は近年、商品と共にコンテンツを提供するようになってきた。TopshopのブログInsideOutやNasty GalのブログNasty Galaxyがその例である。

同様に、デジタルメディアもコンテンツと共に商品展開を進めるようになっている。これは新しい動きではない。Instagram映えするロゴやネットのバズワード入りのアイテムが人気を集め、売上が伸びているが、この手法はかなり前から存在した。 

Elle(Hearst社による雑誌およびブランド)のアパレルラインは米国のKohl’sで長い間取り扱われている。ブランドAbercrombieは、ノスタルジア感溢れるカタログマガジン“A&F Quarterly”を発行する。最近のJ.CrewのカタログではファッションインフルエンサーのQ&Aコーナーが登場。

このように、印刷物、コンテンツ、販売商品はずっと前から深く関係しており、ブランドとコンテンツプロバイダーの両方がファン層とのエンゲージメントを獲得するため、ブランドコミュニティの構築により一層力を入れている。

「デジタルメディアが飽和状態の今、ブランドはクリエイティブな方法でオリジナルコンテンツを打ち出して消費者の関心を引き、エンゲージメントを高めなければなりません。ストーリーテリングはより重要になっています」とWGSNデジタルメディア&マーケティングのシニアエディターSarah Owenは語る。

異なる点は、以前よりも今の商品はかなり注目度が高いことである。絵文字アプリやTシャツは熱狂的な人気を得ている。ベルリンの年2回発行の雑誌032cはラグジュアリーなコンテンツと商品の完璧なバランスを保つ。著名なフォトグラファーSteven Meiselがコントリビューターとして参加し、同誌のメンズスウェットシャツやTシャツは売れ行き好調である。

コンテンツプロバイダーは、コミュニティの基盤をしっかりと固めてから、商品を発売するようにしている。コミュニティの人たちに発売までのプロセスに関わり、成功をサポートしてもらうためだ。Glossierは、ビューティーエディトリアル系ウェブサイトInto The Glossによるコスメブランドである。Teen VogueとW Magazineで働いた経歴を持つEmily Weissは、エディトリアル系ウェブサイトの高いポテンシャルに目をつけた。

このようなウェブサイトの読者層はロイヤリティが高い。彼女はウェブサイトを立ち上げ、コミュニティを構築した。商品を展開したとき、読者ファンや商品を試したいと思う消費者がすでにおり、潜在顧客が存在した。

コンテンツプロバイダーとECの特別な関係は今後も進化していくだろう。次世代の消費者であるジェネレーションZはブランドの透明性を重視し、購入前にそのブランドをしっかりとリサーチする。十分な下調べをして質の高いコンテンツを手掛け、ECと融合することが小売での成功のカギとなる。

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