間違いだらけの売り場支援① 顧客を知らなければ始まらない

2024/10/29 12:30 更新


本社側の“思い込み”は時にお客のニーズとずれる

 小売業の本社にとって大切な業務の一つが、売り場のサポートです。それに応えてくれる本社スタッフは多いものです。

 しかし、具体的にアクションは、以前から決まっているオペレーション業務を淡々とこなすことにとどまっていないでしょうか。もしくは、売り上げを増やそうと、手当たり次第に良さそうな策に手をつけていないでしょうか。

積極性よりアドバイス

 あるブランドは、売り上げの低迷に悩んでいました。「一番の要因は、接客への積極性がないことだ」と判断した本社は、ファーストアプローチをした人数を各店でカウントし、提出するように指示しました。しかし、施策を行ったのにもかかわらず、売り上げは増えるどころか、下がってしまいました。

 なぜかと言うと、このブランドを利用するお客様たちは積極的な接客を求めていなかったからです。それよりも、フィッティングの際にサイズ選びに自信がなく、アドバイスを求めているお客様が多いのがわかりました。

 もし、売り上げを増やすなら、お客様へ適切にアドバイスできるような研修や、店舗で勉強してもらうための資料の送付など、やるべきことがあったのです。

 このブランドは、試着室の接客で求められるスキルを見直すことで、セット率や成約率を高めることができました。

売り手の〝正解〟より顧客視点

 このように、本社側の〝思い込み〟で施策を行おうとすると、お客様のニーズとずれてしまうことがあります。本社スタッフはややもすると、「これをすれば売り上げ増が達成できる」と、業界に根付く〝売り手側の正解〟で対策を考えがちです。

 しかし、顧客視点で考えられていない施策は、売り上げではなく、販売員たちの無駄な作業を増やし疲弊させてしまう危険性があります。

 売り場で効率的かつ、結果を残してもらうために、本社スタッフこそお客様に興味を持ち、どのようなニーズがあるか日々意識を向けながら、顧客戦略を立てる必要があります。思いつきで接客強化の指示を出したり、2点買うと20%オフなど値引きをするフェアを打ち出すのではなく、顧客戦略に則って施策を進め、検証していくべきです。

 お客様が何をしてもらいたいと思っているのか、もしくはお客様ですら気がついていない潜在ニーズはどのようなものがあるのかに敏感になることで、初めて売り場へのサポートは始まります。

 仮説を立て、定期的に売り場を見たり、客層と近いお客様たちのSNS投稿を検索してみたり、本社スタッフもお客様との接点を作っていく必要があるのです。

(販売コンサルタント・平山枝美)

【連載】間違いだらけの売り場支援

  1. 顧客を知らなければ始まらない
  2. 本社での展示会のあり方とは
  3. 的外れな研修
  4. 正解は一つではない
  5. ディスカッションの答えに「アレ?」を見つける
  6. 研修は売り場で再現しやすいように
  7. 耳あたりのいい目標はブランドをダメにする
  8. メモの取り方で言語化が得意に
  9. 「顧客視点」の誤解
  10. ペルソナの解像度
  11. 新規顧客の獲得施策、お客様視点ですか
  12. 売る以上に大切な「売った後」
  13. 知識は力なり
  14. 大切なのは「顧客」だけではない
  15. あなたの会社の店長評価は適正ですか
  16. 口癖は思考を停止させる
  17. 購買の常識が変わった今、販売員がすべきこと
  18. ネガティブな考えも悪くはない
  19. 視野を広げてヒントを集める
  20. 楽しさ優先、数字はついてくる

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