ビームスが3月にシンガポールで開催したオーダースーツの受注会が好調だった。日中の気温が30度を超える熱帯の国でどうやってスーツを売ったのか。現地で小売業を運営する河村浩三氏と、現地で接客したビームスの中村達也クリエイティブディレクターに聞いた。
(柏木均之=本社編集部)
【関連記事】ビームス、シンガポールでオーダースーツ販売盛況 「アジア市場はもっと広げられる」
熱帯の国でも売れる
「コロニークロージング」は、13年までビームスに勤めていた河村氏が「ジェットセッター(飛行機で世界中を移動する富裕層)にラグジュアリーリゾートスタイルを提案する店」として14年にオープンしたセレクトショップだ。
ハイブランドとファストファッションの店が大半のシンガポールで、複数のブランドを取り揃え、客の好みや着用シーンに合わせてコーディネートやスタイルまで提案する店は少ない。コロニークロージングは河村氏の目利きで選んだ品揃えと提案で顧客を増やしてきた。

河村氏は熱帯の国であるシンガポールでもスーツは売れると考えていた。人口は600万人程度だが、政治・経済が安定しており、給与水準は日本より高い。富裕層も多く、ビジネスシーンで少なからずドレッシーな装いが求められる場面も存在する。
多民族国家のため、既製服のみでは人種による体格や体形の差をカバーすることは難しい。だが「丁寧な接客で体形に合った商品を提供できるオーダーなら潜在需要をきっととらえられる」。
目を付けたのが「カスタムテーラービームス」だ。メンズのドレス店で提供するパターンオーダーサービスだが、袖や裾の寸法だけでなく、体格や姿勢に合わせて細かな体形補正を行い、国内縫製で仕上げる。その完成度の高さは愛好家から高評価を得ていた。「日本でやるのと同レベルの受注会をシンガポールでもやりたい」と考えた。
国内外に熱心なファン
この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。
すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!