サステイナブル・エコ・ソサエティー① NEXT資本主義、新時代の夜明け(Freewill CEO トシ・アサバ)

2024/01/09 11:30 更新


 歴史には社会課題解決や生き方のヒントがある。そこで日本の歴史的事実だけを抜粋し、少し振り返りたい。そこにイデオロギーの区分は全く無意味だとあらかじめ言及しておく。

 徳川の世、戦乱から開放されて約260年続いた太平の時代、日本は3000万人ほどの国だった。明治時代に入ると、いよいよ国際社会へ躍り出るが、時代の流れは時に巨大な力となり誰もあらがえず、世界で唯一の被爆国の道をたどる運命が待ち受けていた。それでもこの小さな島国はわずか数十年で人口1億人を突破し、世界経済の中心を担うまでになる。

 戦後約80年となる現在、世界は新時代を迎えつつあり、ブロックチェーン技術を基盤とするウェブ3の台頭で、これまでの資本主義に変化の兆しが訪れた。2058年ごろ、世界人口が100億人を突破すると予想される中、世界中で若者が立ち上がり、社会課題へ対するデモが行われ、それらはビジネス面にも影響を与え、サステイナブル(持続可能)な生き方や働き方が問われるようになった。

取り残される日本

 一方、日本は少子高齢化が進行し、56年ごろに人口1億人を割るとされる。国が縮小する中、気候変動や過疎化、教育、文化・伝統維持などの課題があり、アパレル産業では、大量生産・消費・廃棄による環境負荷の問題がある。それに対しデモを行う国民は少なく、話題にならない。あらゆる側面から見て、日本も世界の大きなうねりの中心にあるが、唯一、先進国として世界と連動できていない。

 インバウンド(訪日外国人)への対処も遅れている。円安が後押しし、多くの旅行者が訪日しているが、経済効果を期待できる一方、一部のお金は日本に落ちていない。例えば、海外旅行会社が全て手配する場合、その多くは日本に還元されないのだ。更に私たちがCOVID-19におびえている間、海外では決済システムや各種サービスが進化し、独自のエコシステムだけが潤う仕組みが整った。日本のサービスが国際的に活躍できない状況が続けば、この先どうなるか。

100年先を見越した解

 その未来を予測できるからこそ、この国の歴史や文化を振り返る必要がある。先人がどう社会を発展させたのか。そして自然や隣人を大切にするアニミズムベースの文化に眠るヒントは何か。英知と現代の技術を掛け合わせれば、母数の大きな海外に対し、100年先を見越した課題への解が示せるはずだ。その解は「消費」の仕組みを変えることにある。「消費者」が「生産消費者」に変われたなら、社会課題のいくつかをクリアできる。そのためにはまず「創造主」と真逆の「労働」という概念に打ち勝ち、ウェブ3が示すプロジェクト型エコノミーに向け、大きな一歩を踏み出す必要がある。私たちの手で解決を果たせれば、世界に示せるロールモデルとなるだろう。

 本コラムでは、「消費・生産・労働」を元に、アニミズムベースから生まれる具体的な消費の仕組みについて、ブロックチェーンの技術を交え紹介したい。

(Freewill CEO トシ・アサバ)

【連載】サステイナブル・エコ・ソサエティー

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