サステイナブル・エコ・ソサエティー③ 買い物が社会課題を解決する仕組みに(Freewill CEO トシ・アサバ)

2024/01/23 12:30 更新


日常の買い物が課題解決に還元されれば負担は感じない(イメージ)

 もし、消費という行動一つが、あらゆる社会課題の解決に結びつけられたなら、新しい資本主義の定義になるだろう。もし、消費者が強要されることなく、無意識に買い物(消費)をするだけで参加できるとしたら、教育の格差もなく、老若男女を問わない参加を意味し、全ての人が参画できる仕組みと言える。そうなれば、日本は全世界に自分たちの存在意義を知らせ、平和を願う象徴たる国として次の世代に託すことができるだろう。

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生産の在り方を見直す

 逆にもし、新しい資本主義の定義に、日本が関わることができなかった場合、国連での発言権はもちろん、アジアのリーダーなどは過去の産物に過ぎない。この役割をもし果たせなかった時、事実上、日本という国の文化・歴史・伝統など、あらゆる倫理観が破壊されてしまう可能性を危惧せざるを得ない。そんなことはない、との意見があるとしたら、では、今の日本を見て、このままでも大丈夫だと言えるのか。事実、本当にそう言える人が一人でもいるのかと問いたい。

 資本主義の頂点に立つ者。それは、国でも国連でもなく、紛れもなく資本家だ。そして、これからの力ある資本家たちが大切にするのが、企業やビジネスの在り方、「生産の在り方」を見直すこと。地球環境が持続可能になるための指針を打ち出し、サステイナブル(持続可能な)社会へと構造を変えていくしかないと、今や世界の資本家が考えているわけだ。

 労働者の働く環境を含め、今後の資本の生み出し方は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点から、大・小関係なく製造業者側の努力が必要とされる。特にSDGs(持続可能な開発)の12番目「つくる責任、つかう責任」の徹底にはエシカル(倫理的な)消費を顧客(消費者側)に促す努力も欠かせない。

負担を感じず社会貢献

 しかし、新しい資本主義社会を迎えるであろう2050年付近の地球人口は100億人を超える勢いだ。いかに生産側が努力しても、100億人を超える消費者がこれまでと考えを変えなかった場合、SDGsの達成は不可能だ。そして悲しいかな、人は何かを強制されると、拒否反応を示すことが往々にしてある。

 そこで必要なのは、意識させない仕組みだ。誰もがこれまでと同じ消費活動をするだけで、利益の一部が様々な課題解決のために還元されたなら、負担を感じる必要もない。さらに、このシステムにブロックチェーンを搭載すれば、利益の行方を追い、誰がどれだけ社会貢献したのかも分かるようになる。それは、1社のみのエコシステムとしてユーザーを抱え込む構図ではなく、みんなで実現しているという構図にすれば、大きな経済圏を実現でき、オール・ジャパンで成し遂げることが可能となる。

(FreewillCEO・トシ・アサバ)

【連載】サステイナブル・エコ・ソサエティー

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