地方の縫製工場 受注激減で相次ぎ休業 マスク生産で社会貢献も

2020/04/21 06:30 更新


 地方の縫製工場の操業には新型コロナウイルス感染拡大への対応よりも受注の激減が重くのしかかっている。緊急事態宣言の対象区域が全国に拡大される以前からアパレルメーカーからの受注数量の減少や夏物・秋物のキャンセル要請などがあり、5月以降、休業を余儀なくされるところが増えそうだ。工場所在地の自治体の要請などに応じて布マスクを生産する動きも目立つ。一部で医療用ガウン(簡易的なタイプ)生産の行政からの発注を求める声も出ている。

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 縫製業のマツマル(東京)は国内自社工場の休業を予定する。宮城・石巻は4月28日から1週間程度を断続的に7月末まで休業する。8月から先は受注がないので休業の見込み。岩手・山田は5月10日から約1カ月間休業予定。新潟・関川は5月大型連休明けから1週間程度を断続的に7月末まで休業。8月から先は受注がないので休業の見込み。新潟は5月1日から約2カ月間休業する予定だ。

 現状は「全国に緊急事態宣言が発令されたが、各工場長に確認したところ行政から特別な要請も無く、従業員は今まで通り出勤している。深刻なのはアパレル数社から夏物や秋物の発注数量の減少やキャンセルの要請が出始めていること。そのため、休業しなければならないライン数が増え、5月からは全く稼働できない期間が数カ月間続くような予想だ」と松丸喜一郎社長。「国内縫製工場の稼働にもなるので不足している防護服や医療用ガウンの生産を行政から発注してもらえるとありがたい。その場合、海外生産品との価格差が生じる。その際、国内価格での購入が必要だ。価格差を国が負担したとしても、雇用調整助成金の負担に比べれば負担額は小さいし、なにより不足している医療用品の供給をタイムリーにできる」と強調した。

 岩手県の岩手モリヤは、4月いっぱいは従業員の半数に有給休暇を使ってもらい、半分で操業している。同社の森奥信孝社長は「縫製工場の稼働状況は、特に婦人服を扱う縫製工場は5月からの受注がなく先の見通しもない厳しい状況が続いている。一部では新型コロナで医療の現場で足りない問題となっているアイソレーションガウンの縫製依頼の話があるが国からの生産開始の要請が遅れているようで進んでいない。縫製工場は受注減の代わりに縫製できるので一刻も早い国の決断をお願いしたい」と訴える。 

 また、一般社団法人北いわてアパレル産業振興会の会員企業全社でそれぞれ工場所在地の市町村からのマスクの依頼を受けて生産対応している。

 デザイナーブランドや百貨店ブランドの縫製を担うサンワーク(岐阜市)は「今のところ売り上げはキープ出来ている」。ただ、6月以降の婦人服冬物のオーダーは、店頭の状況が厳しいことから、「受注が少なくなる可能性がある」と不透明な見通しだ。

 サンプル・小ロット生産に対応するプロモード(岐阜市)も「5月以降の冬物受注が激減している。そもそも厳しいところにダブルパンチ」と苦しい状況を吐露する。1月まではサンプル依頼があったが、2、3月以降アパレルの展示会が延期・中止されたり、店頭不振で受注が低迷。雇用する技能実習生の出勤日を調整しながら、採算が合うように努力する。仲間の縫製工場から仕事を振ってもらったり、営業を掛けて新規販路も開拓。個人向けオーダー生産など新たな取り組みも視野に入れている。

 エトフェール(岐阜県北方町)は技能実習生によるマスク生産を始める。厚生労働省などが当面の措置としてマスク生産業務に就くことを可能としたからだ。「婦人服の受注が厳しい中、ありがたい」と強調する。

 東北の紳士オーダースーツ工場でも4月上旬から受注が激減し、通常の3分の1以下の生産量となった。今週から一時帰休にする。地元の自治体の要請からマスク生産には対応している。「日本の生産現場を助けるためにも国内の縫製工場に発注してほしい」と訴えた。

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