エシカル市場規模調査実行委員会は、22年の日本のエシカル(倫理的な)消費の市場規模(消費者がエシカルな製品・サービスの購入・利用した額、一部21年や23年の数字含む)が8兆円超に上るという調査結果を公表した。
8分野で調査
調査したのは①エシカルな食品(オーガニック食品、持続可能な水産物など)②エシカルな家庭・個人用品(持続可能な木工・紙製品、リユース衣料・服飾品、エシカルファッション、エシカルな化粧品など)③連帯消費(フェアトレード=公正取引、応援消費、地産地消など)④エシカルな生活(リペア、レンタル・シェア)⑤エシカルなエネルギー(高エネルギー効率の家電製品、グリーン電気料金など)⑥エシカルな移動・旅行(クリーンエネルギー車、エコツーリズム)⑦エシカルな資金運用(エシカルな貯蓄・投資、市民活動への寄付、クラウドファンディングなど)⑧ボイコット・非エシカルな消費の削減(社会や環境への配慮に欠けた製品・サービスの買い控え、プラスチック製品の買い控え)――の8分野・29のエシカル消費行動。
分野別で最も市場規模が大きかったのが「連帯消費」(2兆3030億円)で、「エシカルなエネルギー」(1兆5140億円)、「エシカルな家庭・個人用品」(1兆1820億円)と続いた。
個々のエシカル消費では、「地産地消」(1兆1250億円)が最大だった。次いで「高エネルギー効率の家電製品」(9650億円)、「地元商店での買い物」(6720億円)だった。ファッション関連は、「リユース衣料・服飾品」が5120億円、「エシカルファッション・ジュエリー」が450億円などだった。
英国は3倍に
過去25年にわたり調査が行われている英国の22年のエシカル消費市場は、総額約22兆円。日本は3分の1にとどまった。ただし今回調査は、「エコマーク製品」「非児童労働製品」「アニマルウェルフェア製品」「障害者による製品やサービス」「オーガニックコットン製品」「カーボンオフセット」「ダイベストメント」など、データが得られなかったり推計が困難な分野も多かったため、「それらの推計が可能になれば市場規模は8兆円を大きく上回ると思われる」としている。
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実行委員会は日本エシカル推進協議会発起人兼理事の渡辺龍也東京経済大学名誉教授と柿野成美法政大学大学院准教授を中心に4人で構成している。調査は日本エシカル推進協議会と日本フェアトレードフォーラムが後援し、1年がかりで行った。調査情報は、公的機関や認証機関、マーケット調査機関などから収集したほか、インターネット調査(24年8月に全国の15~79歳の男女1865人を対象)も実施し、市場規模を推計した。