フェンディと共に伊文化旅行(宇佐美浩子)

2023/02/17 06:00 更新


今月11日、東京・表参道に最新鋭の旗艦店とも称すべき扉をオープンした「パラッツォ・フェンディ表参道」。

エリア的に、表参道のランドマーク的スポットとして愛されている地だ。近隣には今も昔も変わらず、世界のキッズたちに人気の(自身も幼い頃のお散歩コース)「キデイランド」がお待ちかねとあり、いわば日本と海外の交差点的立ち位置は普遍的と言える。

そうした背景をも感じる、オープンに際し開催された記念イベントの招待状と同封のカードは、1500年の歴史を誇る越前和紙製(写真上)。そこには、フェンディの本拠地ローマと、明治神宮へと通じる表参道が奏でる、伝統と歴史のハーモニーが香り立つ。

イベント当日にはアーティスティック ディレクターの3人(キム・ジョーンズ、シルヴィア・フェンディ、デルフィナ・デレトレズ・フェンディ)も来日し、多くのゲストを出迎えてくださった。

当コラムでもしばしば紹介しているローマ・ファッションウィーク「アルタローマ」の取材時にも、お目にかかるシルヴィア・フェンディさん。この日の輝く笑顔は格別!

Photographer: Noam Levinger

なおバラエティーに富んだイタリアン大理石を目にする当館を、すでに訪問された方はご存じの通り、遊び心あふれるライフスタイルアクセサリーとキッズコレクションに加え、日本初コンセプトショップとして「フェンディ・カーサ(FENDI CASA)」のホームデコールもお見逃しなく。

さて、フェンディと言えば、映画界とのつながりの深さでも知られるブランドであることは、当コラムにても度々クローズアップしてきた。また映画のみならず、文化遺産の保存と修復など様々な文化的活動を継続していることでも知られている。

そこで2月最初の「CINEMATIC JOURNEY」は、「フェンディと共に伊文化旅行」をテーマに巡りたく。

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「持ち主が代わり、新たな視線に触れる度、本は力を得る」
―カルロス・ルイス・サフォン『風の影』(2001)

とは今回の渡航先こと、イタリア・ユニセフ共同製作作品として「世界の子供たちのためのプログラムを支援するユニセフに捧ぐ」映画『丘の上の本屋さん』。その1シーンで目にする、壁面に掛けられたボードに記された言葉の翻訳だ。

なんとも意味深な哲学的表現に、昨今のブルネロ・クチネリ氏が発する言葉をはじめ、イタリアン・スピリットを痛感した。

そしてまた風光明媚な景色が広がる舞台は、「イタリアの最も美しい村」の一つ、チヴィテッラ(=「小さい街」という意)・デル・トロントという、中部に位置するアブルッツォ州テーラモ県の村だそう。


イントロ的紹介を記すだけでも旅気分を誘う本作の主役は、その村人たち御用達であろうカフェもあるフィリッピ・ぺーぺ広場に佇む、古書店の本と言っても間違いない。

そこに付随して登場する年老いた店主リベロと、読書好きな西アフリカの小さな国ブルキナファソからの移民エシエン少年。世代も国籍も超越した彼ら二人の読書を介した交流に胸に熱い思いが宿る。

1冊目の「ミッキーマウス」から始まった、まさにエシエン専属フリー図書館(笑)。「ピノッキオの冒険」「星の王子様」「アンクル・トムの小屋」…「ドン・キホーテ」などと読破する度に、ここ日本でも人気を博した「マリトッツォ」や「スフォリアテッラ」、そして定番「ビスコッティ」といったイタリアン・スイーツと共に対話を重ねていく姿がほほえましい。


そして最後に、ギフトとして手渡す1冊に胸が熱くなる。

そこに記された文字と老店主の名「リベロ(=「自由」の意)」がリンクしているのだから…

丘の上の本屋さん

3月3日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:ミモザフィルムズ
© 2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI 


「フェンディと共に伊文化旅行」をテーマに巡る今月最初の「CINEMATIC JOURNEY」。そのゴールはやはり、冒頭にもチラリとご紹介した「アルタローマ」最新版の話題。

© courtesy of Altaroma

先月末31日から今月2日まで開催された今回は、やはり前回のファッションスカウトプロジェクト『Who Is On Next?』で1位に輝いた、初の日本人デザイナーSatoshi Kuwataによるブランド「SETCHU」の最新コレクション「“2D to 3D” Collection F/W 2023-2024」に注目したく思った。

ブラック、コバルトブルー、ベージュのカラーリングと、ブランドコンセプトが香る折衷スタイルが、さらにモダンでエレガントに進化したコレクションという印象だ。

数あるスタイリングの中から筆者独自の異文化交差点的推しの1ショットが下記。

© courtesy of Altaroma

さて、「袴パンツ・スーツ」風スタイルで向かう旅先は?そんなことをイメージしつつ、今回の「CINEMATIC JOURNEY」のフィナーレを飾りたく!

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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