ホテルとシネマのランデブー〈ブルガリ編〉(宇佐美浩子)

2023/04/06 06:00 更新


© Bulgari Hotels & Resorts

例年よりやや早咲き傾向にある今年のサクラの開花と共に、来日を待ちかねていたグローバルな交流が再開し、日本各地で多国籍の人々との出会いをもたらす機会がアップしている。

同時にラグジュアリーからファミリートラベラー向けなど、バラエティに富んだホテルの扉が開き、私たち日本人にとっても、新たな発見と感動を覚える。

そこで4月の「CINEMATIC JOURNEY」は、「ホテルとシネマのランデブー」と題して、そこはかとなくシネマが香る「ブランニュー!ホテル」をフィーチャーいたします。

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というわけでまずは、劇作家ウィリアム・シェイクスピアの妻の名がネーミングの由来というハリウッド女優、アン・ハサウェイがグローバル・アンバサダーを務めるローマのハイジュエラー「ブルガリ」。

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ブルガリの CEO、ジャン-クリストフ・ババン氏(画像下左)のコメントにも登場する“ホスピタリティのジェム(宝石)”こと、「ブルガリ ホテルズ & リゾーツ」 コレクション8番目となる「ブルガリ ホテル 東京」が、「東京ミッドタウン八重洲」の40階から45階のフロアに4月4日、オープンした。

オープニングセレモニーに伴い来日したアンを目の当たりにした筆者としては、やはりハイジュエリーの似合う女優だと実感!華やかさとスマートな佇まいが、スクリーンで拝見する以上に好感度がアップ。さらに彼女のブランドの魅力に対するコメントにもそんな一面がキラリと輝きを添えていた。

「ブランドそのものが、伝統、クラフツマンシップ、そして美しさを融合させることができる」と開口一番。さらにまた「大胆さ、それに行動、さらには躍動感、そしてJOY『嬉しさ』を融合させることに成功しているからです」

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そしてブルガリと女優達の親密度は兼ねてより、ブティック内での展示やブルガリ発行の写真集を通じ、垣間見る機会を得たが、当館随所に展示されているアップデートされた新旧のポートレートを拝見するのもまた一興だ。

中でも「Dolce Vita(甘い生活)」 な時代を代表する女優、エリザベス・テイラーやソフィア・ローレン等の美味しそうな表情が印象的なモノクロ写真が壁を飾る「イル・リストランテ ニコ・ロミート」の個室には、50年代にジオ・ポンティがデザインしたものを近年になって 「Molteni(モルテーニ)」が改変したという、重厚な佇まいのイタリアンテーブルと美味なハーモニーを奏でている。

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またレセプションエリアへと続く、美しいイタリアのガラス製モザイクタイルで有名なブランド「Bisazza(ビザッツァ)」社のモザイクに彩られた廊下にも50年代・60年代にコンドッティ通りのブルガリ本店前で撮影されたシネマ界を始めとするセレブリティたちの写真が飾られ、ブランドが誇る「Dolce Vita」な香りが訪れる者たちをほのかに包み込むかのよう。

ちなみにモザイクは、日本の伝統文様の「孔雀紋」からインスパイアされたスペシャルオーダーによるデザインだそう。一方で、ブルガリの「ディーヴァ ドリーム」コレクションの発想源になったローマのカラカラ浴場のモチーフにも通じるとのこと。

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上記画像に加え、館内随所で目に入るブランドのシンボル「エイトポイントスター(八芒星)」。とりわけ40階ロビーの黒花崗岩の床に、ローマで古代から広く使われてきたトラバーチンで象嵌したシンボルの輝きは格別かも。

同じく当ホテルのシンボルと称されるのが、1972年に日本との長きにわたる縁を記念して制作したゴールドとマザーオブ パールを使ったヘリテージピース「マウント・フジ ブローチ」。お天気の良い日には、リアル富士山を目にすることができるとか。

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この感動深い空間すべての設計デザインを手掛けたのは、イタリアの建築設計事務所「ACPV アーキテクツ アントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィール」。記者発表会に登壇したパトリシア・ヴィールいわく

「22年間、ブルガリホテルを手掛けています。が、建築家として日本に興味がありました。建築だけでなく、美に対する感性が素晴らしいと思うからです。日本のデザインのセンスも比類のないものだと思います。完璧を目指して考え抜きました」(抄訳)

あたかも日伊の文化のマリアージュ的館内の設えは、ゲストルームのデザインスタイルのコードとなっている。いずれも筆者注目のブランドである東京ミッドタウン八重洲に待望の東京初ショールーム&ストアをオープンした1688年創業の京都西陣織の老舗「細尾」の手掛けたベッドカバー、また近年海外からの注目も高まる、ものづくりを大切にしながら木製家具製作に取り組む福岡発のブランド「Ritzwell(リッツウェル)」による「ブルガリホテル 東京」特注のダークステインドオークの家具などを筆頭とするジャパニーズブランド。

対するイタリアンブランドには、「FLEXFORM(フレックスフォルム)」のアームチェアや「MAXALTO(マクサルト)」のデスクといったACPVアーキテクツがデザインした家具をはじめ、女性の胸元をエレガントに飾る極上の宝石が連なり、完成するネックレスのような日伊の美しいデザインの調和に魅了されるに違いない。

ブルガリホテルのデビューとなるミラノ訪問時から、あっという間の約20年。当時の顔ぶれとの東京での再会!あたかも前述のビンテージの宝石のような…

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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