【専門店】多品種少量発注型MDで売り上げを安定化するには 顧客定着へ「接客」と「集客」を磨く 求められるアイデア力
店の大小を問わず、ここにきてヒット商品が減り、1品番を数量多く売る「タテ売り」から、品種を増やして1品番の数量は抑える「多品種少量」がMDの主流になっている。鮮度重視、在庫リスクを抱えない戦略に加え、メーカーが追加用在庫を抱えなくなったのも一因。ただ、品揃えが頻繁に変わるため、顧客定着率が課題になっている。安定した売り上げを見込むには顧客と店をつなぐ「接客力」と、頻度高く来店動機を作る「企画力」が重要になっている。
変わり続けるのがファッション
東京でセレクトショップと販売代行業を展開するオリジナルトーツ(東京、中山修代表)は、接客力とブランドとの協力関係を強みに、個性を求める客層に支持されている。恵比寿路面にある自社セレクトショップのグッドライフストアは、売り場面積は約43平方メートルの小型ながら、メンズ・レディスを品揃えし、「ウジョー」「マウトリーコンテーラー」などブランドの個性やスタイルを熱い接客で売る。

品揃えはタテ売り型だったが、ここ数年は不良在庫になるリスクを避け、広く浅くのMDで高単価商品率を増やした。月商400万円を目安にブランドの協力を得て、他店より早く商品紹介して高回転で売り切る。数量を売れるものはオリジナル商品として生産。例えば、定番白シャツは100枚を2年かけて売っている。
顧客は芸能人も多く、個性的で上質なファッションアイテムを求める層が多いが、不変的商品を求める層も半数はいる。一方、取り扱いブランドの約半分は2年単位でデザインコンセプトを変えるため、それを喜ばない顧客は店を離れる。顧客比率が50%になれば、売り上げがより見込みやすくなるが、同比率が40%から伸びないのが課題だという。
ただ「昨日と今日で変わるのがファッション。変わる店と顧客をつなぎ止めるのが接客。お客に変わり続けてもらうには、販売員の販売力やスタイリングでのアイデアが今後重要になる」と中山代表は見る。
ここにきて大手メーカーなどから販売代行業の依頼も増えている。接客力への社会的評価を高めるのも同社の目標で、接客力ある販売員が50人規模いる会社に育てていく構えだ。

コトとおしゃれする場を提供
長野中心市街でメンズ・レディスセレクトショップを展開するバルバコーポレーション(佐藤太一代表)は、取り扱いブランド全般には多品種少量の仕入れの中で、自店オリジナル商品や別注商品は数量多く仕入れ、勝負する。3年前に新規出店した衣食住ライフスタイル店舗「4Dスタジオ」では、ブランドポップアップ、デザイナー来店のイベント企画を月3、4回は行って、「コトをつけた提案など、常に来店する動機作りを意識している」と佐藤代表はいう。
例えば、アウトドア要素を取り入れるメンズ・レディスブランド「アンドワンダー」のデザイナーと登山できるコト提案は、ブランドファンにはうれしい企画で、来店タイミングで4万円の別注商品50枚を1週間で販売した。2割ほどあるオリジナル商品は1型30~50枚作って、集客イベントなどを絡めて売り切る。
スタッフの接客力も大きいが、来店のきっかけとなるイベント企画は、地方路面店にとって非常に重要だ。集客イベントで最も貢献しているのが「朝ごはん会」で、月1回午前8時から10時まで店内で食べ物を出す。地場産食材を使った飲食店オーナーと組んでオリジナルメニューを提供し、顧客には「おしゃれして来て」と呼びかけて、「長野で数少ないおしゃれをする場」になっている。

(繊研新聞本紙19年9月5日付)