今年も2月初めに「ベルリン・ファッション・ウィーク(以下、BFW)」が開催され、ドイツを拠点とするローカルブランドを筆頭に、ウクライナやアフリカも含めた35ブランドが2025-26年秋冬コレクションを発表した。BFWの主要ブランドのひとつ「WILLIAM FAN」やドイツの気鋭ブランドが集結したグループエキシビジョン「DER BERLINER SALON」が10周年を迎えた今シーズンは、これまで以上に国際色豊かなゲストを招き、ドイツ国外へのアピールを強化しているように感じた。
今シーズンの「DER BERLINER SALON」は、ルネサンス時代の絵画が多数展示されている絵画館(Gemäldegalerie)で開催された。
個人的に興味深かったのが、これまでBFWには一切関わってこなかったBAM Worksが「Haderlump」など一部のブランドのショーのPRとして新規参入したことだ。彼らは、ベルリンとコペンハーゲンに拠点を構えるコミュニケーションにおけるプロフェッショナルチームであり、これまでに、カーハートやアディダス、A.P.Cなど、様々なブランドのローンチイベントやコラボレーションイベントなどを手掛けている。
次シーズンもPRとして参加するかは不明だが、ヨーロッパでも人気のインターナショナルブランドをクライアントに持ち、パリやアムステルダムなど、他のヨーロッパ都市でもイベントを手掛けるなど、幅広く活動しているBAM Worksの実力やセンスに期待したい。
BFW中は、関連イベントが多数開催されることでも知られているが、今シーズンはミッテ区に位置し、ナイキやSalomonといったスポーツブランドから、ポーランド発MISBHVやイタリア発Bonsaiなど日本未入荷のブランドを取り扱うコンセプトショップ「SOTO store」にて開催されていたイギリスのシューズブランド「Clarks」のローンチイベントに参加した。
同じ通りのすぐ近くでは、Numero Berlinを手掛けるクリエイティブ集団OOR Studioのパーティーも開催されており、ゲストたちが行き交う中、フォトグラファーと声を掛けて撮影させてもらった。ファッションウィーク期間中とは言え、通常のパーティーより圧倒的にオシャレなゲストが多いことに驚いたが、それもそのはず、数え切れないほど多くのモデルが来場していたからだ。
ベルリンのモデルエージェンシーにも所属しながら、他都市のエージェンシーにも所属しているモデルがほとんどで、BFWのためにベルリンを訪れたとのこと。私自身も正装な気がして、つい全身ブラックのコーディネートにしてしまうのだが、同パーティーではカラフルなスタイリングに国際色豊かな顔触れが相まって、華やかなベルリンの一面を見ることができた。
他にも、リサイクルセンターというユニークな場所でショーを披露した「Maria Chany」の会場前でキャッチしたモデルやゲストたちのスタイリングを紹介したい。各ブランドによってゲストの顔触れやスタイリングが異なるのもファッション・ウィークの特徴であり、楽しみながら撮影することができた。
繊研新聞では、これまでベルリンだけにフォーカスしてきたが、1週前に開催されている「コペンハーゲン・ファッション・ウィーク」に以前から興味を持っており、機会があれば取材してみたいと思っている。物価の高さが気になるところだが、好きなブランドも多く、建築やデザインも見てみたい。春分を迎え、一気に春めいてきたこともあり、行動意欲が増してきたようだ。
ランウェイショーについては、紙面とオンラインに掲載されているので是非チェックして欲しい。
(スナップ撮影:Yanae Reichert)
長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。
セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。