飲食店を併設する個店の存在感が際立ってきた。10月初旬~11月中旬、繊研新聞の新興面で「衣+食の個店」という連載をした。日頃から個店専門店を取材する数人と担当した。コロナ禍を経験したことで、リアル店舗の役割が改めて見直されている。以前から地方の個店では、洋服の物販だけでは集客が難しくなっており、来店のきっかけとなる間口を広げることが求められていた。その中でも、自店の世界・価値観と共通する〝食〟というファッションとは別の入り口を設け、新たなファン作りに挑む個店の強みを考えた。
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社会課題の解決へ
今回の連載で記者が取材した地方の個店には普段からオーナーの主張が色濃く反映されているが、飲食事業についても、その延長戦にある、ぶれない店作りが貫かれている。
神戸市元町通を中心にレディスやメンズのセレクトショップと、ジビエを切り口にした飲食店や精肉店を運営しているメリケンヘッドクォーターズ(入舩郁也社長)は、創業当初の20年以上前から、地元、兵庫県で害獣として処分された野生ニホンジカの副産物(鹿肉、鹿皮、鹿角、鹿骨など)をまるごと1頭有効活用する仕組みを確立してきた。同社は衣料品の物販と飲食店を同じ空間で営業しているわけではないが、自社セレクトショップと同じ通り沿いに鹿肉を中心にジビエ専門のレストラン「鹿鳴茶流・入舩」などを構え、別の角度からファンを獲得している。さらに害獣問題という社会課題の解決や地域の活性化を目指す活動を知ってもらい、考えるきっかけにもなっている。
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