暗号資産交換業のCOINHUB(コインハブ、東京、植原洋代表)は暗号資産を即時売買し、現金(日本円)と交換できる専用端末「コインハブATM」(仮称)の本格設置を秋から開始する予定だ。設置場所は大型SC、百貨店などの大型小売店、駅ナカ商業施設などを想定する。当初は25台前後を設置し、「早期に100台、最終的には2500台を目指す」(大竹英昭セールス&マーケティングマネージャー)。
暗号資産ATMはユーザーがスマートフォンアプリや取引所を介さず、暗号資産を現金で購入、売却できる端末。北米を中心とした海外では既に数万台が設置されているが、日本では数台しかない。コインハブは金融庁の認可を受けた暗号資産取引所で、17年12月に暗号資産ATMネットワークのライセンスを日本で初めて取得した。不正取引を検知、遮断するシステムを搭載するなど「セキュリティー対策が万全となった」として、本格展開を決めた。
氏名、住所、電話番号などを登録すれば利用できる。少額取引を可能にして、SCなど日常の生活動線上の拠点に設置。大口取引で資産形成する層ではなく、気軽に暗号資産を活用したい層との接点を広げる狙い。日本の暗号資産の保有者は30代を中心に20~40代が多く、預かり資産額が10万円未満の取引口座が全体の約8割を占めることから、「ATMはSCなどとの親和性は高い。施設にとっても誘客につながる」と見る。今年1月にパシフィコ横浜で開かれた「SCビジネスフェア」に初めて出展、大手ディベロッパーを含めた複数社と商談しているという。
対象通貨は当面「ビットコイン」で、順次他の通貨に広げる。将来は送金機能やEC決済も視野に進化型ATMとして開発を目指す。植原代表は「ATMは暗号資産の進化に向けた次のステップ。暗号資産が身近に扱われる日を実現したい」という。