前回は、時代の変化と共に求められるスキルセットや力についてお話しました。今後も時間の経過と共にさらに大きく変化していくと思います。では、どのように、そうした適応力を身につけていけば良いのか。私は業界外にもアンテナを張り続けることだと考えています。
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生かせるあなたのキャリア
仕事柄、人に会う機会が非常に多くこれまであらゆる業界でご活躍されるビジネスパーソンと接点を持ってきましたが、ファッション業界の傾向として異業種の方とのコネクションを持っている方が非常に少ないと感じます。業界外どころか同業内でのつながりですら想像以上に少なくネットワークが同じ会社内だけ、同じ部署内、店舗内だけに限定されている方も少なくない印象です。
客観的な立場で様々な業界を支援していますが、ファッション業界が持つ力や強みは、他の業界でも大いに生かせると感じており、業界の外にも目を向ければ非常に多くのチャンスがあると考えています。例えば同じ小売業でもファッションのVMDの知見を鮮魚店に生かした事例もあり、大きな反響につながりました。日本酒の商品開発や宿泊施設のユニフォーム監修、クリエイティブ制作にファッション業界の知見が生かされた事例など、「ファッション×異業種」の取り組みはまだ白地が多いように感じます。
また、地方創生の仕事で毎月のように地方を回り、多様な課題に触れる機会も多いのですが、ファッションの力で解決できそうな課題は非常に多いと感じています。むしろ、ファッション業界が持つ感性、センスといったものが地方創生の大きなヒントになるとさえ考えており、「ファッション×地方創生」で、水面下で進めているプロジェクトもあります。
このように、外に目を向ければ、強みや経験を生かせるフィールドは大きく広がっていきますし、改めて自身のキャリアを見つめ直す良い機会にもなります。逆にキャリアに思い悩んでしまっている方の多くは、業界内に閉じた発想と視点が要因になっているように思います。
やるか、やらないかの話
外部とのつながりを作ることは、行動を起こしさえすればできること。誰にでも平等に与えられたチャンスです。できるできないという能力の話ではなく、やるやらないという行動力の話です。多くの視点によるフィードバックは、自分を知ることや自己成長に大いに役立つ要素。積極的に業界の外にも目を向け、接点を持ち、今後のキャリアの選択肢を大きく広げていってほしいと思います。
そしてそうした皆さんの多くのチャレンジによって、ファッション業界がもっと世の中から必要とされ、より一層魅力的な業界となっていくことを強く願ってこの連載を締めさせていただきます。
(オールイズニュー代表・吉田直哉)
=おわり
【連載】HRの常識の非常識