NYの美術館、再開!(杉本佳子)

2020/08/31 06:00 更新


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 ニューヨーク市では、8月末から美術館の再開が始まった。再開日は美術館によって異なり、ホイットニー美術館は9月3日に再開する。メトロポリタン美術館は、8月29日に再開された(別館のクロイスターズは9月12日再開)。正面入り口に掲げられたのは、「THE MET 150」の赤いバナー。メトロポリタン美術館は今年、創立150周年を迎えたのだ。まさか150周年記念の年に半年近くクローズすることになるとは、誰が予想しただろう。その両脇に掲げられた「DREAM」「TOGETHER」と書かれた白地のバナーは、オノ・ヨーコによるデザイン。なんともシンプルなデザインだが、再生に向けてのメッセージを意図している。

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 27日午前中には、プレスプレビューが行われた。入り口では体温測定。今後、一般の来場者たちに対しても、入り口で体温測定するという。

 

 美術館は収容人員の25%までを条件に再開が認められた。エレベーターは床に赤い丸が2つ描かれ、一度に2人までしか乗れない。トイレは、7つトイレがあるところで「キャパ4人」と書かれているところがあった。

 

 再開にあたり、目玉の展覧会は、150年間の歴史を振り返る「メイキング・ザ・メット 1870-2020」だ。南北戦争後、ビジネスマン、市民のリーダー、アーティストたちが集まって、ニューヨーク市に美術館をつくろうと決意し、最初のステップを踏んだのが1870年4月13日だった。入り口正面に置かれた彫刻は、イサムノグチの「クーロス」(1945年)。

 

 発足時に買い集められたアートの中には、日本のものもあった。17世紀の鎧はその1つ。江戸時代の能の衣装、古墳時代の兜と剣も初期に収集されたものとして紹介されている。

 

 個人的には、今の時代ではまず見られなさそうな手のこんだクラフツマンシップに目がいった。ティファニーグラスの花瓶はその1つ。1896年に寄贈されたもので、ティファニーの創業者、チャールズ・ルイス・ティファニーの息子のルイス・コンフォート・ティファニーがデザインした。1883年にデザイン登録されたウイリアム・モリスのプリント、1915年に寄付されたレースも、その緻密さと繊細さが新鮮に映った。

 

 伝統的なキルトもあったが、ちょっと変わり種は、ハーレムのストリートから見たアパートの窓に映る人々を描いたキルト。ハーレム在住のアーティスト、フェイス・リングゴールドによる「ストリート・ストーリー・キルト」(1985年)だ。有色人種の女性アーティストのクローズアップに、時代への呼応を感じた。

 

 摩天楼とセントラルパークの緑を一望できる屋上庭園は、今の季節ならではの気持ちよさを体験できる。今はメキシコ人アーティスト、ヘクター・ザモラによるインスタレーションが展示されている。

 ちなみに、閉館で開始が延期になっていたコスチュームインスティチュートのメイン展覧会「アバウト・タイム: ファッション&デュレーション(持続性)」は、10月29日から来年2月7日まで開催される。

 

 ニューヨークは映画館とレストラン内での飲食は、まだいつ再開されるか、まったく見通しがたっていない。劇場は来年にならないと再開しない。ナイトクラブなど、どうなるかわからない施設は他にもある。美術館の再開で、やっとカルチャーを体験できる場がちょっと戻ってきたところなのだ。観光客は皆無に等しく、富裕層は高級避暑地のハンプトンズの別荘に行ったまま、戻ってこない人が多いという話も聞く。それでも、メトロポリタン美術館を後にして、マジソン街を下ってみると、あちこちにアウトドアダイニングが見られ、いかにもリッチな感じの人々が食事をしている姿が目に入り、少しほっとする。高級ブティックホテルのマークホテルの前にも、お洒落なパラソルが並ぶアウトドアダイニングスペースができていた。

 

 ラルフローレン本店の脇では、ラルフズコーヒーが営業中。そして、座る場所がないくらい、お客さんで埋まっていた。大方の店は閑古鳥、人気レストランが次々閉まる、という状況の中で、こんな人気スポットができているのを見ると、本当にほっとする。こういう人気スポットがもっと増えていくことを願わずにはいられない。

 

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89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ

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