ニューヨークでは、サステイナビリティ、手仕事、古着への関心の高まりに伴い、お直しへの関心が高まっている。今年1月に開催されたデニムの合同展、キングピンズでは、来場者たちがお直しを体験できるワークショップがあった。
そうした中、エヴァ・ジョアン・リペアは服のお直し専門店ではあるのだが、デザイン性を加えた「お直し」もするところに特徴がある。
創業者は、映画やコマーシャルフィルムのプロダクションデザインをしていたエマ・ヴィレナーヴさんと、広告編集の仕事をしていたビヨン・エヴァ・パークさん。2人共古着が好きで、直しをしてくれる人を探した時に見つからなかったことから、エヴァ・ジョアン・リペアを開店したという。最初は2021年に別の場所にオープンし、2023年、約93平方メートルある現在の場所に移ってきた。ウエストビレッジの閑静な住宅街の中にある。
今は9人のチームで回していて、老若男女問わず、直してほしいものを持ち込むお客がコンスタントに訪れる。着古したジーンズをもってきた男性は、膝のお直しに加え、「摺り切れているポケット口もこれ以上ほつれてこないように何かできる?」と聞いていて、エマさんは「ステッチの色はどうします?」「ポケット口にはこの布(カラフルなレインボーカラー)を当てるのはどうですか?」などとお客の要望を確認しながらオーダーを受け付けていた。子供のニットの手袋のお直しを持ち込む人もいる。レンタルサブスク利用で服を所有しない人がいる一方で、愛着のある手持ちの服をなるべく長く着たい人が少なからずいることがわかる。
作業場の棚には、依頼されたお直しが入った袋がびっしり。お客は主にインスタグラムでエバ・ジョアン・リペアを知って来る。お直しに要する期間は2週間が目安だ。
今の時期はセーターのお直しが多く、虫食いの穴を隠すために刺しゅうをデザイン的に入れている。
ジャケットもここまで手を加えると、まったく新しいジャケットに生まれ変わる。
ルイ・ヴィトンのこのバッグは開いてしまった穴を隠すため、このように刺しゅうを入れたスウェードを付けるそうだ。
店の入り口近くには、たくさんのヴィンテージの布やボタンなどが置かれていて、これらは売り物。ヴィンテージの服に刺しゅうなどを加えたものを「既製品」として販売もしている。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)