2020年は急速に拡大した抗ウイルス需要に応えて、新たな素材が続々と登場した。既存の技術をさらに高度化し、多様な用途で使用できるようになった。
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■光で感染力減らす
小松マテーレの抗ウイルス加工「エアロテクノ」は、旧来型コロナウイルスの感染力を2時間で99.9%低減させる。ウイルスを酸化分解する光触媒加工を進化させ、組み合わせる特殊吸着剤にも改良を加えた。光触媒加工は、東芝マテリアルの酸化タングステンを使った加工技術を基にしており、日光だけでなく電灯の光など様々な可視光で効果を発揮する。
自社生産するマスクとマスクインナーに施し、20年9月の発売から計9億円を売り上げた。同製品には、植物の色素を配合した染色技術「オニベジ」に天然由来の機能性を加えた「ベジベジ」で抗菌防臭効果も付与した。
エアロテクノは自社製の簡易パーテーションにも採用した。今後、ユニフォームやインテリア関連、生活資材、車両内装材などに向け販売する。
■風合いと耐久性向上
東レの抗ウイルス素材「マックスペックV」は、インフルエンザウイルスなどが持つ外側の脂質膜(エンベロープ)を壊し、ウイルスを減少させる効果がある。ポリエステル100%の生地での抗ウイルス活性値(合格基準3.0以上)は、未洗濯が4.4、洗濯10回後が3.8で、「SEK抗ウイルス加工マーク」を取得している。
これまでポリエステル繊維への薬剤の固定化が難しく、綿混の生地を使うことが多かった。マックスペックVはポリエステルと親和性の高い抗ウイルス剤を使い、繊維に薬剤を固定化する独自技術で洗濯耐久性を高めた。工業洗濯50回後でも効果が持続する。固定化のために接着成分を使う従来の加工に比べ、風合いが柔らかい。ユニフォーム、スポーツウェア、ファッションウェアなど幅広く提案する。
(繊研新聞本紙20年12月18日付)