真剣に仕事と向き合っている人の言葉には力がある。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長に取材するたびに強く感じることだ。その発言は率直でぶれがなく、示唆に富む。繊研新聞は毎年1月に柳井会長のインタビューを上下2回連載で掲載するが、紙面スペースの制限上、取材内容の全ては網羅できない。24年1月4、5日の連載で収録できなかった内容を公開する。
(柏木均之=本社編集部)
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世の中の流れを見れば、向かうべき方向は分かる
――23年8月期の売上収益は2兆7665億円。店舗数3578。小郡商事をファーストリテイリングに社名変更してから31年で売り上げ規模は193倍、店舗数は58倍になった。驚異的な成長を柳井会長自身はどうとらえているのか。
当社は1949年創業です。ユニクロを91年からチェーン展開し始めて、94年に上場した。海外に出たのが01年で、そこからもう20年以上経っているのだからこれくらいの規模にはなるでしょう。一生懸命みんなでやってきたんだから。ならないとしたらそれは方向性がまずいってことです。
あらゆるビジネスは世の中の流れの影響を受ける。社会や経済の変化が人々の考えや嗜好(しこう)をどう変えるかを見ていれば、自分の会社がどの方向に行けば良いかわかる。ユニクロをグローバルで通用する、日本発のアジアを代表するブランドにしようと思った。そのための前提条件を毎日考えてきた。
目標を決めて、そのためにできることは全部やる。やろうと思ったことは個別具体的に、今日できることは今日やる。明日できることも今日やる、みたいに考えて、実行することが(成長のための)第一ですよね。
理想の小売業になるというスタンスは変わらない
――23年8月期は売り上げの5割、営業利益の6割をユニクロの海外事業が占めるまでになった。日本で生まれたユニクロが世界中で売れる理由は何なのか。
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