【店長に役立つページ】コロナ禍で学んだ店舗運営術、21年以降の目標は?

2021/02/13 06:27 更新


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 20年春以降の新型コロナウイルスの感染拡大により、従来通りのやり方では、売り上げを伸ばすのが難しくなっている。今回は4人の店長に、コロナ禍を踏まえて変化した店舗運営に対する考え方や自店が直面した課題に対する対処法、21年以降の目標について聞いた。SNSを活用した情報発信や、客・スタッフともに居心地が良いと感じられる空間を作ろうとする動きが強まっている。

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全員で情報を発信して集客へ

「アーバンリサーチ・ドアーズ」ららぽーとエキスポシティ店 真部里香さん

「スタッフの成長が店長の大きなやりがい」と真部さん

 「集客が課題となり、商品コーディネート情報の配信に注力した」と真部さん。新型コロナウイルス感染拡大により、来店客数は緊急事態宣言が明けた直後は反動があったものの、その後は外出を懸念する人もいて少なくなっていた。

 「魅力のある商品が入荷しているのに、それを伝えられないジレンマを感じた」中で、スタッフによるアプリを活用したコーディネート配信の強化を決めた。苦手意識のあるスタッフもいたが、「着こなしの好みは人それぞれ。配信者が多ければ多いほど、関心を持ってくれるお客様も増やせる」と全員を巻き込んだ。

 配信は月平均3回から週2回へと増加。目的買いの来店が明らかに増え、買い上げ率が向上した。並行して店頭でのコーディネート提案も以前より柔軟に繰り出せるようになった。

 真部さんは店長として常にスタッフとのコミュニケーションを重視している。「人と仲良くするのは得意だけど、それだけではダメ。仕事上で言うべきことをきちんと伝えるところまで踏み込まなければ」と強調する。

 コロナが感染拡大する前に、異動が重なり、メンバーが新体制になった。「最初は不安もあった」が、親しさと厳しさを両立した育成によって、新規客獲得に取り組んだ。「スタッフの成長を目の当たりにできることは、店長職の大きなやりがい」と言う。

 21年の目標は、居心地の良い店作りをもっと強化していくこと。「コロナ禍であっても来店してくれるお客様、そして働くスタッフにとっても心地良い店を追求したい」と考えている。「そのためにスタッフ間で連携できることはまだまだたくさんあるはず」ととらえている。

SNSの投稿で来店動機を作る

「サマンサモスモス・ホームズ」シャポー船橋店 久貝さとみさん

「スタッフの成長が見られることも店長の楽しさ」と久貝さん

 19年から店長を務める久貝さん。「ついつい行きたくなる、寄りたくなる店」を目標に店舗を運営している。

 コロナ禍で大変だったのは「入店客数が減ったこと」だ。そんな中でも顧客に来店してもらえるようにとSNSのスタイリング投稿を増やした。1日1回必ず投稿をし、時間は朝6時に統一した。毎日決まった時間に投稿することで、ランキング上位に載ることや見てくれる人も増えたという。接客中に活用することで認知度も上がった。朝に上げたスタイリングを見て、その日に来店するお客もいるほどだ。

 少ない人員で店を回すため、コミュニケーションを取れるタイミングが少なく、スタッフ育成にも課題を感じた。アルバイトスタッフと社員とで同じモチベーションを保つことも難しかったという。そこで、休憩を極力複数人で取れるようにシフトを調整した。

 会話出来る機会を増やしたことで「自分からいろんなことを話してくれたり、相談してくれたりすることが多くなった」という。

 「店の顧客が増えることが店長の楽しさにつながっている」と久貝さんは話す。心掛けているのは自分だけのお客にならないよう2対1で接客すること、サマンサモスモスらしい着こなしを徹底すること。着こなしの部分では、ブランドの代名詞である重ね着をするよう、スタッフにも声を掛けている。徹底することで以前よりも着こなしをほめられたり「着ている商品が欲しい」と言われたりすることが増えた。

 21年は「SNSを活用してスタッフのファンを増やし、お店の目標を達成出来るようにしたい」と話す。よりスタッフ間でコミュニケーションを取って「思いやりのある店作り」をしていく。

個性生かした発信と特別な商品

「ステュディオス・ウィメンズ」表参道店 原田真衣さん

「自身のブランドを立ち上げるか、自分の好きな商品を集めた店を運営することが目標」という原田さん

 18年春に入社し、半年後に店長に昇格。香港店を経験し、20年9月に同店に異動した。6月にオープンしたばかりで認知度が低いことに加え、都心の路面立地で流動客の入店が見込みづらい状況だ。現在は「わざわざ足を運んでいただける顧客作り、当店で買いたいと思っていただける商品作りに注力している」という。

 顧客作りでは、インスタグラムを中心とした情報発信に力を入れている。「この人に服を選んでもらいたい」と思ってもらうため、原田さんを含むスタッフ一人ひとりが自らの個性に合わせた情報の発信やコーディネートの提案を心掛けている。ブランドが発信する情報すべてを拡散するのではなく、「自らが好きなもの、自身に似合うものに絞って情報を載せる」のがポイントだ。自店のスタッフ一人ひとりが異なる価値観を演出することで、それぞれが異なる顧客を獲得できるように仕向けている。

 商品作りでは、今秋以降、月に1回の頻度で別注商品の発売や期間限定店の開催に取り組んできた。顧客が関心を持ちそうな普段は取り扱いのないEC限定ブランドやSNSで好評なブランドの催事を開くようにしてきた。顧客を楽しませるだけでなく、新規客の誘引も狙った試みだ。

 こうした取り組みが奏功し、同店の買い上げ客数に占める顧客比率は5~6割と高い。目的を持って訪れる客が多いため、買い上げ率も高い水準だ。

 コロナ禍での営業を踏まえ、今後は「来店予約制の効率的な運営ができる店にできれば」と考えている。美容室やネイルサロンのように「女性が月に一度、身だしなみを整えるために来店したいと思える店」を目指す。

スタッフ一丸で目標を共有

「イッカ」イオンモール福岡伊都店 髙木梨菜さん

「スタッフ全員で励んだことが結果につながった時、店長としてのやりがいを感じる」と髙木さん

 20年2月に同店に赴任すると同時に、店長に昇格した。自店のスタッフ一人ひとりが個性を生かした接客に努めることで、顧客に愛され、安心して足を運んでもらえる店作りに取り組んでいる。

 店長になって感じたのは、「自分一人の努力だけで店の売り上げを伸ばすのには限界がある」ということ。スタッフの教育やコミュニケーションに注力し、「店の目標を全員で共有することが大切だと改めて感じた」という。同店では学生から50代の主婦まで幅広い年齢層のスタッフが働く。サブの協力を得ながら、一人ひとりの個性に合わせた接し方を心掛けてきた。

 今春の臨時休業中、髙木さんが店で作業をしていたところ、以前に接客した客が購入した服を身に着けてあいさつに訪れた。「早く営業が再開できると良いね」というねぎらいの言葉に励まされるとともに、「自店のスタッフにも同じような経験をしてもらいたい」と考えるようになった。スタッフの一人ひとりが客から信頼を得られるように「臨時休業期間中はスタッフの特徴や長所をノートに書き出し、個性の把握に努めた」。

 それらを元にアドバイスを送ったことで、休業前後でスタッフの働き方に変化が生じた。接客に前向きになれたり、誰もが分かりやすい教育を心掛けたりするスタッフが現れ、店の力が向上した。営業再開後「スタッフ全員の個人売り上げが伸び、店の売り上げも伸びている」という。

 コロナ禍で集客が困難ではあるものの、「一丸となって目標に向かうことで、一見高いと思える売り上げ予算や前年実績も上回ることができている」という。

 髙木さんが店長を務めている間に、同店の年間売り上げ記録を超えることを自店と自身の目標にしている。

《バックルーム》

 20年の春以降、店長をはじめ、店舗スタッフの方々は、不安と苦労の絶えない日々が続いたことと察する。ここ数カ月間、当ページの取材を通じて、対面・リモートを問わず、複数の店長にお会いしてきた。急な環境変化にも前向きに対応しようと善処する姿勢が印象的だった。

 今、店長たちは何を重視して日々の業務に臨んでいるのかを改めて聞きたいと思い、今回の企画を設けた。外出自粛によって流動客が減り、顧客の足すらも遠のくなか、攻めの姿勢で自店に客を集めようとする姿がうかがえた。新型コロナの終息はいまだ見えないが、今年積み重ねた努力が、将来の糧になって欲しいと願う。

(繊研新聞本紙20年12月28日付)

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