7月に開かれたプルミエール・ヴィジョン(PV)パリやミラノウニカ(MU)といった欧州素材見本市には、日系副資材企業も多数出展した。環境配慮型資材や、衣料品のアクセントとなるデザインにこだわった副資材などを披露し、欧州向けの拡販を図る。
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MUには、YKKイタリアが出展し、サステイナブル(持続可能な)に貢献する現地開発商品を数多く提案した。材質にステンレスを使ったファスナーは、さびに強く、傷が付きにくい。エレメントの色もはげにくく耐久性が高い。なるべく水を使わない表面処理で、エコにも貢献する。スナップボタンについてもバネ部分にポリアセタール樹脂を採用したものを開発し、製品寿命を延ばした。
ジーンズ用リベットも古着リサイクルしやすいように着脱可能なものにするなど工夫している。サステイナブル商品の販売比率はまだ10%ほどだが、スタンダードな商品も今後切り替えていく方針。そのほか、引き手にNFCチップを内蔵したファスナーも提案。トレーサビリティー(履歴管理)やケアの仕方といった情報を入れておくことで消費者との接点を増やすことができ、スウェーデンのアウトドアブランド「Houdini」が採用している。
細幅資材製造のSHINDOや清原、島田商事はPVパリに出展した。SHINDOは、自社コレクション「S.I.C.」で環境を軸にリニューアル。スパンデックスを使わないメカニカルストレッチのニットテープや、オーガニックコットンのブレード、軽量メッシュテープなどの反応が良く、リサイクル素材への原料の置き換えも進んだ。色、サイズなど合わせ4万アイテムという豊富なバリエーションや、ドイツに倉庫を持ち、リードタイムを短くできる点もアピールした。
島田商事は、香港現地法人の島田商事香港が出展。スポーツ、カジュアルどちらの用途にも使えるようなシンプルでスタイリッシュな形状のホックやスナップ、樹脂とマグネットを組み合わせた留め具、ドローコードなどを提案した。リサイクルしやすくするための、モノマテリアル化に対応する樹脂アイテムなども好評だった。
19年以来の参加となったのは清原。ゆがんだような形の変形リングは、服のバックルに使い、「アクセントになる」と評判が良かった。金属ホックも反応があり、特徴的な資材が欲しいという顧客ニーズにマッチしたと見る。来場はコロナ禍前に比べやや少なかったものの、会場でしっかり話を聞いてくれた来場者にはその場でサンプルを配布、商談を次に進めやすいように工夫し、欧州向けの拡販を狙う。廃棄衣料品を活用した繊維リサイクルボード「パネコ」と協業したディスプレーも好評だった。
(三冨裕騎)