こんにちは!こども市場担当記者の金谷(かなたに)です。
7月22日掲載で、小学校に冷凍庫が設置されているという記事を書きました。
熱中症対策で冷却グッズを身につけて登校しても、一番気温が高くなる下校時にはぬるくなり、使えないことを解決するためです。
ここでは、先駆けて23年9月から冷凍庫を設置している兵庫県たつの市の小学校で、実際にどのように運用されているのかをご紹介したいと思います。
お邪魔したのは、「播磨の小京都」と言われる龍野城下町にある龍野小学校。設立150年超の大変趣のある学校です。
たつの市教育委員会事務局教育管理部教育総務課課長の岩田昌喜さん(写真)と、龍野小学校校長の田中美智代さんにお話をうかがいました。
そもそもの始まりは、地元の小学生から、市長宛に1通の手紙が届いたことでした。
「顔やせなかがびしょびしょで頭がボーッとします」
「ぼくは暑くて大きな声がでません」
下校時の暑さ対策を望む切実な声に、教育委員会が動きました。
地元企業のランドセルのセイバンに相談を持ちかけ、保冷剤を入れられるランドセル用の背あてパッドを23年7月に全児童(約3800人)に支給。
保冷剤は下校時にはぬるくなってしまうので、再冷却するために冷凍庫を設置することを決め、機種や運用方法を検討して2学期が始まる9月1日に全16校に設置しました。
龍野小学校(児童数207人)では、2学年ごとに1台、計3台の家庭用冷凍庫を設置しています。空き教室や、通行量の少ない廊下に置いています。
1、2年生の冷凍庫の中身は、セイバンの背あてパッド用の保冷剤が半分、PCM(相変化物質)素材のネッククーラーが半分といったところ。
一方、5、6年生の冷凍庫の中身は、セイバンの背あてパッド用の保冷剤のみでした。
「低学年は親御さんが心配してネッククーラーを持たせているのかもしれませんね」と田中校長は予測します。
冷却グッズではありませんが、同校では日傘をさして登下校する人も増えているそうです。
さて、下校時間。5、6年生の冷凍庫に子供たちがやってきました。
代表の生徒が引き出しを取りに行き、みんなに配ります。
「保冷剤があると冷たくて気持ちいいです」と6年生の男の子。
彼は、冷感タオルも併用していると言います。
学校で再冷却できるようになったことで、冷却グッズを利用する生徒も増えたそう。
たつの市には他の自治体からの問い合わせも多く、実際に24年は静岡県焼津市、三重県川越町の小学校で冷凍庫が設置されました。
小学校の冷凍庫設置が全国的に広がり、子供たちが少しでも快適に下校できることを望みます。
かなたに・さきこ 07年入社。レディスの成長企業から小粒で光るECブランドまで幅広く取材。育休を経て、キッズ市場担当に。繊研新聞こども市場取材班 Instagram、Xの中の人