冷却グッズ、下校時ひんやり 小学校で冷凍庫設置の動き 市場拡大の起爆剤なるか

2024/07/22 06:29 更新


兵庫県たつの市の龍野小学校では、3台の家庭用冷凍庫を設置している

 熱中症対策への関心が高まる中、子供の登下校時の使用を想定したグッズの開発が盛んになっている。ただ、保冷剤を使用する製品は、最も気温が高くなる下校時にはぬるくなってしまい、使えなくなることが課題だった。これを受け、小学校に冷凍庫を設置する自治体が出てきた。この動きが全国に広がれば、冷却グッズ市場がさらに盛り上がりそうだ。

(金谷早紀子)

 今年は静岡県焼津市、三重県川越町が全小学校に冷凍庫を設置した。両自治体が手本にしたのが、昨年、先駆けて動いた兵庫県たつの市の事例だ。

 きっかけは、市内の学校に通う小学5年生が市長に宛てた手紙だった。重い荷物を背負い、長距離を汗だくになりながら下校するという児童の切実な声に、地元の教育委員会が動いた。地元企業のランドセルのセイバンに相談を持ちかけ、保冷剤を入れられるランドセル用の背あてパッドを23年7月に全児童(約3800人)に支給。冷凍庫は、機種や運用方法を検討し、2学期が始まる9月1日に、全16校に設置した。冷凍庫設置にかけた費用は約200万円だった。

 運用からもうすぐ1年。市内の龍野小学校(児童数207人)では、2学年ごとに1台、計3台の家庭用冷凍庫を設置している。入れられているのは、セイバンの背あてパッド用の保冷剤のほか、PCM(相変化物質)素材のネッククーラーも多い。学校で再冷却できるならと、冷却グッズを身につける児童も増えたそうだ。

ランドセル用の背あてパッドの保冷剤やネッククーラーが入れられている

 冷却グッズを検討したメーカーからは、下校時にぬるくなってしまうため開発を見送ったケースを聞いた。冷凍庫を導入する小学校が増えれば、学校で再冷却することを前提とした商品開発の道が開ける。

空き教室や通行の妨げにならない場所に設置している

関連キーワードピックアップニュース



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事