2011年よりスタートし、毎年恒例となっているイベント「イタリアワイン三千年」。今年も10月よりスタートし、過去最高の77にもおよぶ催しが2か月以上にわたって開催中。
その記者会見の折、目にしたポスターに思わずニヤリとしたくなった。なぜならどこかで見覚えのある古代ローマ人風のイラストが!
聞けば、やはりあの映画にもなった人気のマンガ『テルマエロマエ』の作者、ヤマザキマリ描きおろしなのだという。❝Bravo‼❞ (と密かに、心の中で拍手喝采☺)
ところで、いうまでもなく当イベントのネーミングは、イタリアにおけるワイン造りの歴史を物語っているのだが、実は最近、その数字が塗り替えられるような下記のニュースが。
「シチリア島で6000年前のワイン痕跡!」
「南フロリダ大学の考古学の調査チームが、シチリア島南西海岸近くの洞窟で、紀元前4000年の銅器時代にイタリアでワイン造りが行われていた可能性を示す、テラコッタの大きな容器を発見…」といった内容だ。ことと次第によっては今後、「イタリアワイン六千年」になる可能性があるかもしれない!?
そんな話題に相応しい、現在全国順次公開中(都内は、11月11日から吉祥寺オデオンにて)の作品がある。
1853年、イタリア・オペラにおける最大の作曲家として名高い、ジュゼッペ・ヴェルディにより発表されて以来、数多の公演が行われているオペラの古典らしく、毎度華麗なる衣装が魅惑的だ。
本作では、イタリアが誇るラグジュアリーブランドの創始者、ヴァレンティノ・ガラヴァーニが手掛けており、ヒロイン、ヴィオレッタの衣装は自身のデザインによる。
そのヴァレンティノがソフィアの代表作の一つ『マリー・アントワネット』における彼女の才能に魅かれ、直々に演出をオファー。そして彼女初のオペラ演出作が実現したというわけだ。
ここで余談だが、「オペラ『椿姫』が免疫制御細胞を誘導する」というユニークな研究結果から。日本人外科医で漢方医、そしてサイエンティストの新見正則医学博士がイグノーベル賞を2013年に受賞した。
1991年に創設されたこの賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるノーベル賞のパロディーなのだそう。
というわけで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、テーマにも掲げた「そのはじまりをシネマで!?」。まずはその幕開けに最もふさわしいシネマ『リュミエール!』をご一緒に。
振り返ること、昨年末から今年にかけて2話連続でご紹介した当連載シリーズ(下記2件)に再び出くわしたかのような本作は、「シネマの歴史をシネマで知る」貴重な作品だ。
ちなみに上の画像は昨年、リュミエール研究所を訪問した際に、スタッフのご案内によりパシャリとした思い出の1枚。
「ここからシネマが始まった!」
という記念すべき撮影ポイントなのだそう。
さて、前置きはほどほどにして、本作の観賞前後にご紹介させていただきたいポイントをいくつかシェアいたしたく。
まずは、下記紳士二人が本作主役ともいうべき映画の父、ルイ&オーギュスト・リュミエール兄弟。今、私たちが映画の楽しみを分かち合うことができるのも、彼らの発明「シネマトグラフ」が礎となっている。
そんなリュミエール兄弟が1895年から1905年の10年間に製作した作品1422本から、カンヌ国際映画祭総代表でありリヨンのリュミエール研究所のディレクター、ティエリー・フレモー氏が、監督、脚本、編集、プロデューサー、解説ナレーションも兼務し、108本の「小さな映画」(1本約50秒)を厳選、4Kデジタルで修復、そして1本の「CINEMATIC JOURNEY」(90分)として完成させた!
ちなみに本作は、映画史における最初の映画監督としても兄弟を称えるためでもあるとか。
ところで、リュミエール兄弟は映画のみならず、スチール写真術の研究も行っていたことをご存じの方はどれほどおいでだろう? その才能は1907年、世界初カラー写真技法発明へと導いた! まさに「発明王」と呼ぶにふさわしい人物なのだ。
最後に、本作フィナーレ近くに記される下記の名言に、心からの感動を分かち合いたく。
❝映画は皆を
世界中を楽しませ
豊かにする
これ以上の誇りはない ルイ・リュミエール❞
10月28日(土)より東京都写真美術館ホールほかにて全国順次公開
© 2017 - Sorties d’usine productions - Institut Lumière, Lyon
「そのはじまりをシネマで!?」をテーマにご紹介している「CINEMATIC JOURNEY」。
ゴールは来年3月11日まで、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の「ヤン・フードン展」の話題をチラリと。
中国における最も重要な現代フィルムアーティストと称されるヤン・フードン。彼が敬愛する1930年代の古い映画。その中から中国人監督、蔡楚生による1935年のサイレント映画『新女性』へのオマージュというフィルム作品『New Women』(2013年)の続編、かつ初のデジタルカラー映像となるのが本展の主役『The Coloured Sky: New Women II』(2014年)。
5つのスクリーンに映し出される色鮮やかな人工的世界。そこに登場するなんともレトロだけどチャーミングな水着をまとう5人の女性たち。その愛らしい表情に、フードンの心の中にある女性像が投影されているのだそう。
ということで、その続きはぜひ会場で。
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中