世界中の映画監督をはじめ、映画人、ならびに映画愛好家等が多々訪れているという博物館が、フランスはリヨンにあると知ったのは、恥ずかしながらこの秋のこと。
長年、シネマにまつわる記事を書かせていただいている身の上にもかかわらず、何とも情けない限りです
さてそこはどこかと言いますと、1895年にシネマトグラフを発明した「映画の父」ことリュミエール兄弟ゆかりの地、「リュミエール博物館」&「リュミエール研究所」。
そうと知れば、もはや「行かねばならない」気持ちが満載になるばかり!
そこで2016年のフィナーレと2017年のオープニングを飾るCINEMATIC JOURNEYは、シネマにシルク、そして昨今ではアートシーンも注目!ならびに「星の王子様」の作者、サン=テングジュペリの生誕地(空港名にも冠されている)…etc.
そんな唯一無二の光あふれる街、リヨンを目的地に旅をシェアしたく! テーマは「リュミエール(光)×リヨン16/17」✈✈
1982年、映画発展のための学術機関として設立されたリュミエール研究所。
映画発祥の地ともいえるここへは、世界の映画関係者たちが巡礼するかのごとく、数多く訪れるそうで、その記念として外壁に、彼らの名前と訪問した日を刻んだプレートがレイアウトされている。
「The filmmakers’ wall」とネーミングされたそこには、現在200名ほどの名だたる映画監督の名がずらりと並び、それらを眺めているだけで、計り知れないワクワク感を味わえるに違いない。
また兄弟の父により建てられ、リュミエール城と呼ばれていた館は、現在博物館として転用されている。
館内の展示物一つ一つに宿る、リュミエール兄弟の映画への愛、そして足跡の数々と対面する度に、熱狂的映画ファンならずとも、その輝かしい発明に「ありがとう!リュミエール兄弟」と言いたくなるのでは?
参考までに、明治時代の日本の広告物のコピーらしきものも見つけることができ、折に触れ、時空を超えた旅の醍醐味を味わえそうな!?
それでは、「リュミエール兄弟」の続きは2017年に再び
さて、今回のテーマである「リュミエール(フランス語の『光』の意)×リヨン」。
おそらくご存知の方も多々おいでかとは思いますが、1989年より開催されている世界最大の「光の祭典」が今年も12月8日から10日まで開催された。
世界各地から集まった照明デザイナー、建築家、アーティストなどの応募作品の中から厳選された作品の中に、照明デザイナーの石井リーサ明理と、フランス人の光アーティスト、エリック・ミッシェルのコラボによる大規模な光のインスタレーション作品「PLATONIUM(プラトニウム)」も。
そしてなんと、市庁舎にて披露された彼らの作品は、エコロジカルな視点と来場者の人気投票によって決定される、同祭典の「レシリュムトロフィー」も受賞したのです。
というわけで、こちらの続きは来年1月31日付けの繊研新聞「カルチャー」紙面にて、石井さんへのインタビューと共により詳しくご紹介いたしますので、乞うご期待!
作品のビデオはこちら
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リュミエール兄弟が発明したシネマ。
その2016年のフィナーレを飾るフレンチシネマの話題に移る前に、「リュミエール×リヨン」に相応しい、輝く星付きレストランで活躍するシェフの話題を☆
予約が取りにくいと評判のレストラン「TAKAO TAKANO」。
法律を学ぶ学生が、フランス料理の魅力に触発され、本家本元のフランスへ渡り、待ち受けていたのはミシュランガイドの星のリュミエール(光)!
という、まさに「シンデレラストーリー」メンズ編とでもいうべきか。
富士山のふもとで、味わい豊かな自然の恵みで育った幼少期。
その当時に培われたという自然と人間の特別な味覚体験は、現在の氏の「フレンチ」レシピに、しっかりと根付いているように思う。
日本人ならではの温故知新的風味(幼き日の母が作ってくれた茶碗蒸しを想わせる…)で幕を開けた、ある日のランチのコースは、地元リヨネーゼの舌と心を優しく誘導してくれたのではないだろうか。
☆further info.
というわけで鷹野シェフの永遠のリュミエール(=☆)に思いを馳せつつ、CINEMATIC JOURNEY 2016年のゴールに選んだ1作は、フランスで最も権威のあるセザール賞ベストドキュメンタリー賞受賞に加え、観客動員数110万人を突破したフレンチシネマ『TOMORROW パーマネントライフを探して』!
メガホンをとったのは、クエンティン・タランティーノ監督作品にも出演し、ハリウッドでも活躍のフレンチセレブ女優にして、監督業もこなすマルチな才能の持ち主、メラニー・ロラン。そしてジャーナリストで活動家のシリル・ディオンの二人。
2012年に学術雑誌「ネイチャー」に発表された、21人の科学者たちによる論文「地球生活圏の情勢変化が近づく」に、端を発した本作。
即ち、私たちが今のライフスタイルを変えなければ、2040年から2100年に地球エコシステムが壊滅するだろうということなのだ。
そこで解決策を求めて立ち上がった二人とその仲間たちが、世界各国に点在する新たな暮らし方を始めた人々に会いにいき、垣間見えてくる未来予想図。それらを農業、エネルギー、経済、民主主義、教育の5章から構成した、提案型ドキュメンタリー作品ともいえる内容がフランス本国での人気の秘密とか?!
「地球の未来について意識的なデザイナーを応援したいの!」と語るメラニー。
ご自身のライフスタイルについて、本作PR担当者より入手した情報をまとめてみると;
☑現在はベジタリアン
☑ブルターニュに家庭菜園の土地を持ち、パーマカルチャーを実践
☑ビューティやファッションはすべてビオ
☑必要以上に物を買い込み、ため込む生活にピリオド
――というのが大筋となっている。
本作のストーリーの軸と、リヨン・コンフリュアンス地区の大規模都市開発プロジェクトの一環として誕生し、世の注目を集めているコンフリュアンス博物で目にした常設展と心なしかクロスするように思った。なぜならそこは科学と社会、とりわけ「人間」についての博物館だから…
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中