「フォーエバーな女優たちに憧れて」というテーマで、2014年04月15日にスタートしたこのシネマコラムも、お陰様で100回目を迎えることになりました!
その際にピックアップした作品の一つが、昨年、天の彼方へと旅立たれた私の大好きな女優、樹木希林さん主演作『神宮希林 私の神様』。
本作は今この新たな時代の風がそよぐタイミングで鑑賞するのもベストかも!?などと思ったりしもしています。
そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は「映画が魅せる『∞』(無限大)の夢の旅」をテーマに、その道の巨匠にスポットを当てることにいたしたく!
まずはそんな夢の旅の始まりに相応しい「アート界の樹木希林」と囁く声も耳にする世界的アーティスト、草間彌生。
彼女が単身、ニューヨーク・アート界に乗り込んだ1958年当時の活動の様子や「無限の網」シリーズの初期作品などを目にすることができる展覧会「幾兆億年の果てより今日も夜はまた訪れてくるのだ―永遠の無限」が、8月31日まで東京の草間彌生美術館で開催中だ。
ちなみに上記は今なお脳裏から離れることのない、本展のために制作されたという『天国の梯子』。
7色に色彩が変化する、この優美な電飾の梯子のインスタレーションは、「無限に拡張する時間と空間」を想起し、あたかも宇宙への旅へと誘ってくれるかのよう。
なお入場に関しては開館当時と変わらず、日時指定の予約・定員制で、美術館のwebサイトのみでチケットを販売しているので、お間違いなきように。
というわけで100回目の「CINEMATIC JOURNEY」の目的地は草間彌生ゆかりの地、ニューヨークに決定!
上映時間205分という、その時間の長さにもビックリする『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』。だが、さらに驚くのが本作の監督フレデリック・ワイズマンの年齢が89歳!
つまり前述の草間彌生とは同世代、なおかつ共に現役アーティストとして活躍し、今なお1年から1年半に1本の割合で新作を発表し続ける映画監督なのだ!
そんなドキュメンタリーの巨匠が描く、マンハッタン、五番街と42丁目との交差点に位置する知の殿堂にして観光スポット、そして世界中の図書館員の憧れの的として知られる美しき館。その舞台裏では、一体どんなことが行われているのだろう?
そんな疑問符に対するアンサーが…
ところで「パブリック」という言葉を耳にすると即座に、やや地味なイメージを持ってしまいがちなのだが、本作資料にも記されている通り「19世紀初頭の荘厳なボザール様式」の建築美が感動を呼ぶ本館をはじめ、全92の図書館から構成される世界最大級の公共図書館だと知り、再びサプライズ!
加えて、ニューヨーク市民の生活に密着した実にきめ細やかで幅広い内容のサポート企画や、オープニングを筆頭にしばしば登場するトーク企画には、人気ミュージシャンのエルヴィス・コステロやパティ・スミスなど、個性豊かな顔ぶれの人選が興味深い。
また何よりも印象深いのは、幹部たちが真摯に取り組む図書館の未来に向けたミーティングのシーン。やはりこの部分が本作の重要なカギを握っている、とも言えよう。
5月18日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
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「映画が魅せる『∞(無限大)』の夢の旅」をテーマに掲げ、今回で100回目を数える「CINEMATIC JOURNEY」。
次の旅先へと向かう前に、今年創設100周年に当たる資生堂ギャラリーで、6月23日まで開催している「荒木悠展 : LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ」のこんな1コマをシェアいたしたく!
現存する日本で最古の画廊として知られる当ギャラリーで、自身の個展が開催されたことに感慨もひとしおの映像作家として挑んだ本展からも、彼の映画へのロマンあふれる人物であることが明白に浮かびあがるだろう。
フィナーレを飾るのはニューヨーク、ブルックリン出身のこの女性のドキュメンタリー『RBG 最強の85才』。
前述の監督とも同世代、かつまた彼女を主人公に描いた映画『ビリーブ』をご覧になった方なら、どれほどスマートな女性であるかご存じかとは思うが、現在86歳になった今も、現役の女性最高裁判事として任務を遂行されているとは、驚くべきことでは?!
‟淑女であれ、そして自立せよ”
という彼女の母上からの教えは、女性たち誰においても、教訓にしたい言葉かもしれない。
5月10日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中