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物価高で個人消費低迷
24年度の日本経済の回復を左右する材料の一つとして個人消費の動向が挙げられることは言うまでもない。
総務省が発表している直近1月の総消費動向指数(実質、季節調整値)の伸びを見ると、前月比0.2%減と3カ月連続の減少となった。小売業界の販売統計を見ても、インバウンド需要でにぎわう百貨店販売額を除けば芳しくない状況だ。これは物価高によるところが大きい。2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の推移を見ても、前年同月比2.8%上昇し、更にエネルギーを除いても、同3.2%上昇と一時期ほどではないが上昇が続いており、消費者の購買力を減退させている。
今後の個人消費について所得を取り巻く環境の改善がカギを握る。これまでの所得環境は低迷している。1月の毎月勤労統計の実質賃金の伸びは、前年同月比0.6%減と22カ月連続の減少となった。同じく名目賃金は同2.0%増と25カ月連続で伸びているが、これを上回る物価高のために実質ではマイナスとなり、個人消費に悪影響を及ぼしてきた。