第14回アジア化繊産業会議が5月、韓国・ソウルで開かれた。9カ国・地域の化繊産業の現状や課題、サステイナビリティー対応の進捗(しんちょく)などの報告から、アジア化繊産業の現在地を読み解く。
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23年の中国の化繊生産量は6872万トンで前年比8.5%増加した。うち9割強を占める合繊が8.2%増で、ポリエステルの短繊維、長繊維が高い伸びを示したほか、ナイロン、アクリル、スパンデックス、ビニロンといったあらゆる品種で生産量が増えた。再生繊維は479万トン(12.3%増)で、レーヨン短繊維と長繊維が8%強伸びたほか、リヨセルは2.4倍近く増加した。
中国化繊産業の売上高は6.8%増と成長したが、生産の伸びを下回っており、重量当たり単価は下落した。利益は月を追うごとに回復基調で、赤字企業の比率が前年より6.4ポイント縮小するなど改善している。
設備投資額は前年比9.8%減と2年連続で前年を下回ったが、能力増強自体は継続している。ただし、「拡大サイクルの終えんを迎えつつあることを示唆しており、近い将来、供給拡大は緩和されると予想」する。
輸出量は化繊全体で650万トン(15.1%増)と2ケタの伸び。特にポリエステル長繊維と短繊維がどちらも約20%増と顕著で、次いでナイロン長繊維が2.8%増。一方、アクリル短繊維は37%減、レーヨン長繊維と短繊維はいずれも約14%減と大きく落ち込んだ。「グローバルな分業体制に適応し、『一帯一路』構想にも対応して海外展開を加速している」という。
【連載】《アジア化繊産業の現在地》