【繊研新聞社創業75周年】東レ日覺昭廣社長に聞く まねできない画期的な技術を

2023/06/12 06:29 更新有料会員限定


日覺昭廣東レ社長

 08年、リーマンショックで好調だった世界経済は急転、金融危機が引き金となり、大不況が世界経済にのしかかる。各社、各業界がもがき苦しんだ09年に経営企画全般担当の副社長を務め、10年6月に社長に就任以後13年間、東レを率いてきた。

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 ――リーマンショック後の厳しい環境下で社長就任だった。

 前年から始めた中期経営課題IT-Ⅱで徹底したコスト削減により3年間で2000億円以上のコストを減らしました。

 当時の大きな課題は「化石資源がなくなるのではないか」ということ。東日本大震災で電力を原発に頼ることもできない状況でした。その後はシェールガスやシェールオイルが見いだされ、世の中全体は大きく方向転換しましたが。 

 ――15年に国連でSDGs(持続可能な成長目標)が採択された。

 SDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)などの言葉がよく使われますが、多くは投資目的であり、経済優先の不純な動機が多いと感じています。東レは相当前から、環境や人々のためにということを長期的な視点で本気で考えています。例えば、逆浸透膜を使った海水淡水化を80年代に事業化しました。開発当時は原油が1バレル当たり2ドルの時代。石油を使った蒸発法の方が圧倒的に低コストでした。すぐには儲かる商材にはならないが、技術を磨き、事業を続け、今では東レの淡水化技術は高い評価を受けています。

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