アパレル生産は中国から、ASEAN(東南アジア諸国連合)やバングラデシュなど、日本からは遠いが、コストの低い地域へのシフトが進む。しかし、価格競争一辺倒では価値も消化率も下がり、在庫が増える。それを焼却処分すれば、消費者からの批判も強くなる。出口はないかと探していたら、意外なヒントがあった。お隣の韓国だ。
ソウルの東大門市場は一時、マルキュー系の買い付けでブームになった。しかし、ウオン高で注文が減り、代わって中国のバイヤーが増えたのもつかの間、韓国への「THAAD」配備で関係が冷え込む。ロシアからのバイヤーも景気悪化で姿を消し、活気が失われた。
その東大門が息を吹き返しつつあるのがEC向け。実店舗と違って店頭在庫は不要だから、サンプルで注文を受けてから量産しても間に合う。若いクリエイターも敷居の高い大手小売業ではなく、EC向けに起業する。経費が安く、在庫負担も軽い。越境ECで日本向けも拡大中だ。市場と生産地が近いことは、欧州の第4次産業革命にも似ている。さて、このヒントを日本ではどのような回答に導くか。
(矢)