《めてみみ》広がる国境紛争

2025/07/03 06:24 更新NEW!


 タイとカンボジアの国境紛争をきっかけにタイが再び政治混乱に陥っている。タイのペートンタン首相がカンボジアのフン・セン前首相との非公式電話会談で発した自国軍軽視などの発言に対しタイ国民が反発。タイ憲法裁判所は、ペートンタン首相の職務を一時停止する命令を出した。

 国境検問所は閉じられ、陸路輸送が止まっている。タイ繊維企業には大きな痛手となり、日系繊維企業にも一部で影響が出ている。

 インド・バングラデシュ間でも貿易が制限されている。バングラデシュからインドを経由した衣料品の第三国輸出が一部の港に限定され、バングラデシュ繊維産業への影響は大きい。インドと緊密な関係を築いていたバングラデシュのハシナ前政権が昨年8月に倒れた後、緊張関係が続いていた。

 米国、中国、ロシアといった超大国や欧州などを含めた世界のパワーバランスが崩れ、各国が〝自国ファースト〟を訴え、どこで何が起きてもおかしくない状態にある。それに対して介入・解決する力も弱まり、世界が混沌(こんとん)としている。

 コロナ禍を機に、サプライチェーンの分散・多様化が進んだが、手を休めることはできない。強靭(きょうじん)さに加え、世界の変化に即座に対応できる柔軟さを持ち合わせないと、ダメージを最小限に抑えられない。生産地の分散に加え、変化対応力、運営力の高さが鍵を握る。



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