「これほど、韓国が話題になるなんて」。日本に20年以上住んでいる韓国人の知人はそう話す。00年ごろに働いたアパレル専門店では韓国人の採用は前例がなく、珍しがられた。そんな話を聞いた記憶がある。
日韓国交正常化60周年の今年、韓国では新大統領に李在明氏が就いた。前大統領に続き、日米韓協力の重要性を説く。文化産業の発展が国際競争力を高めるとしてKカルチャー市場を300兆ウォン(約30兆円)規模に拡大すると公約し、文化コンテンツ分野に5年間で約51兆ウォン(約5兆円)の予算を投じるとした。
一方、韓国内では「不正選挙」説が影を落とす。先日訪日した韓国の繊維企業の社長も疑惑に触れて顔を曇らせた。「今こそ日韓が協力しなければ」との言葉には、報道を読むだけでは感じ取れない、現地の人の政治への不信感や危機感がどんよりと漂っていた。
韓国メディアによると、米中摩擦などで停滞気味だったKファッション、Kビューティーの中国進出が李政権の発足で加速しているという。不透明感が増す時代、繊維・アパレル産業は国を越えて協力し続け、明るい光で人々の日常を照らしてほしい。
(麻)