大手紳士服専門店が、メンズスーツ頼りからの脱却を目指して久しい。クールビズが定着して以降、コロナ禍で勤務環境が大きく変化し、仕事着のカジュアル化に拍車がかかった。さらに気候変動による酷暑、夏の長期化もスーツ離れに追い打ちをかけた。
各社とも強みのビジネスウェアの売り上げは維持しつつ、レディスやカジュアル分野を強化し、売り上げ構成比を高める戦略は共通している。さらなるカジュアル化を迫られる準大手の紳士服主力専門店では開拓できていなかった客層にアプローチするため、今秋に立ち上げる新ブランドで大手ＥＣモールに出店する。
新ブランドは３０代男女を対象にしたユニセックスなファッションを提案する。今まで取り組んでこなかった販路のＥＣモールを徹底的に研究・分析。そこで売れる価格帯に抑える点を重視した。さらに、即着需要が高いと見て、シーズンのジャストなタイミングに求められる瞬発力のある単品で勝負する。
ＥＣモールへの出店経費は高いが、それは販促・宣伝と割り切って考える。そうすれば、失敗してもリアル店の出店に比べ結果的に傷は浅くて済むという。ヒットすれば知名度が高まり、既存店への波及効果も見込める。今の難しい経営環境で守りの姿勢だけでは生き残れない。攻めの挑戦を続けなければ、新たな活路も見えてこないだろう。
