百貨店の夏のクリアランスセールは例年並みの6月末にスタートした店舗と7月中旬からに分かれた。多くの店舗が6月27日の開始だったが、三越伊勢丹は7月11日に後ろ倒しする。阪急うめだ本店や松屋銀座本店は前年と同様に7月18日から実施する。需要のヤマは2段階になる見通しだ。
セールの売り上げや集客力は年々縮小傾向にある。開始時期の先行、後行を問わず、長く暑い夏に対応してプロパー販売を強化する考えに変わりはない。先行実施した店舗はSCなど競合店との対抗策で、例年通りの開催時期に決めた。ただ、セールと並行して正価品の品揃えを強化する。
一方でセールを遅らせたのは「本来の実需期に正価販売の機会を確保し、適時適品適価の品揃えで販売機会ロスを防ぐため」(松屋銀座本店)という。今欲しい夏物で色とサイズが揃った正価品を選ぶ傾向が強まっており、今夏のセールも同様の考えだ。取引先は一物二価にならないように対応する。
7月や8月に正価品を新規投入し、売り場の鮮度を高める。セール中でも値下げしない商品や、定番品を長い期間で売り切るブランド・商品企画が増えている。滑り出しの3日間は「動きが鈍かったが、正価品は前年を上回った」(高島屋、大丸松坂屋百貨店)という。セールの短期集中型はますます顕著になっている。