《視点》学生の確保

2018/05/11 04:12 更新


 いくつかの4年制大学でファッションビジネス産業の基本講義を担当している。ファッションやブランドは身近に感じているが、業界の構造や課題を考えたことはない。そんな学生のみなさんにも産業に関心を持ってもらうことは、大事な仕事だと考えている。

 最初は普通の講義のように「そもそもファッションとは」から始めた。しかし、反応が鈍い。そこで、身近なブランドを例に、クイズ形式で企業を紹介する。あるいは、最新のニュースを解説する、といった工夫をした。単位取得が目的という点を差し引いても、感想文を読む限り、以前より興味や関心を持ってもらえている。

 素直な疑問も多い。「なぜ、もっと国内生産を重視しないのか」「SCが多すぎる理由は」「ECばかりでなく、リアル店を大事にして欲しい」など。こうした疑問に丁寧に答えることで「業界のことをもっと知りたくなった」「就職先の選択肢に加えたい」といった感想も増えている。

 近年の就職戦線は売り手市場で、優秀な学生の確保に苦労する企業が多い。講座を通じて実感するのは、業界に興味・関心がある学生に自社の魅力をアピールするだけでは枠が狭くなりがち、ということ。業界や産業の魅力をもっと社会全体に発信していく必要性を感じる。(矢)




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