ニッケの調査によると、25年度に学校制服をモデルチェンジする中学校および高校は全国で722校(前年度735校)だった。中学校は571校(609校)、高校は151校(126校)。15~21年は計100~200校台で推移していた。25年度は前年度より減少したが、依然として高水準であることがわかる。
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モデルチェンジの内訳は、中学571校のうち国公立が556校、私立が15校。高校151校のうち国公立が121校、私立が30校。同社によると、盛んな背景にはLGBTQ(性的少数者)への配慮から、学生服を詰め襟やセーラー服からブレザー・スラックスへ変更する動きが活発なことがある。モデルチェンジ後は中・高ともに男女の約8~9割がブレザーに変わった。
このほかにも、制服の仕様を自治体単位で統一する「エリア標準服」の導入が進んでいることも要因とされる。エリア標準服導入の狙いは、「統一デザインの制服を着用して地域への愛着を醸成し、地域として一体感を生み出すこと」といわれている。
エリア標準服は20年に3自治体で129の中学校が採用した。以降は毎年増え続け、今年は累計で143自治体、968の中学校が採用している。同社衣料繊維事業本部販売統括部の幾永詩木ユニフォーム部長は、「近年は愛知県や福岡県のような地方都市で増えており、東北地方でも検討する自治体が出てきた」という。
一方、高校の授業料無償化を背景に公立校と私立高を問わず、生徒の獲得競争が活発になると見られ、「学校が魅力を高めるための一つの施策として制服のモデルチェンジを検討する動きが出てくるだろう」と幾永部長。今後もモデルチェンジが増える可能性を指摘した。
同社を含め、学生服に関わる企業にとってモデルチェンジは商機になる。とはいえ、色柄で特徴を出すブレザーへの変更では、「ほとんどが別注対応」(同社)になる。そのため、生産および在庫の持ち方など物作りや流通の難易度が上がっており、大きな課題でもある。