【記者の目】グランベリーパークと渋谷パルコに見るSC開発のヒント

2020/03/16 06:28 更新


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【記者の目】グランベリーパークと渋谷パルコに見るSC開発のヒント 地元行政と連携した街の活性化 「来館して楽しい」施設作り

 SCの施設の作りや業種・テナント構成(MD)の「同質化」が課題として指摘されるなか、時代の流れに合わせながら、特徴を鮮明にし、消費者に支持される施設が増えてきた。昨年11月に開業したグランベリーパーク(東京都町田市)と渋谷パルコは代表例。タイプは異なるが、想定客層のニーズに即したMDなどに加え、地元行政とも連携して街の活性化を目指し、「来館して楽しい」施設を作った点で共通する。2施設には今後のSC開発のあるべき姿を探るヒントが詰まっている。

(本社編集部SC担当=有井学)

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滞在長く物販伸び

 東急モールズデベロップメント(TMD)が運営するグランベリーパークは、東急と町田市が共同開発した大型複合施設「南町田グランベリーパーク」内のアウトレット併設のSC。TMDが17年2月まで運営していた「グランベリーモール」を建て替え・増床した。

 以前は隣接する市営鶴間公園などと分断されていたが、「新しい街」である南町田グランベリーパークに再開発されたことによって、新しくなった駅や公園と公道、隣接地の「スヌーピーミュージアム」や公共施設などと一体化された。SCはオープンモール型。アウトレットゾーンのほか、食、アウトドア、キッズ、エンターテインメントなどテーマごとに六つのパビリオンがある。

 敷地内の通路を以前に比べて広くした。休憩や飲食、子供を遊ばせたりでき、イベントも行う異なるタイプの屋外広場を敷地内に七つ作った。「モンベル」が店舗棟の前にクライミングができる壁やカヤックが楽しめる人工池を作るなど、「体験型」店舗も充実した。SCとスポーツ広場などを作った公園はシームレスにつながり、消費者には同じ施設に映る。SCと施設全体が「テーマパーク」のようだ。

グランベリーパークは公園などとのシームレスな作りで、時間消費機能を高めた

 こうした施設作りと、話題性の高い飲食店やアウトレットゾーンでの高感度ファッション・雑貨店などを以前に比べて充実したことが広域からの集客につながっている。開業した昨年11月13日からの来館者数は今年1月15日に400万人を突破し、売上高は1月6日に100億円を超えた。いずれも当初計画を上回る。「来館者は多様な楽しみ方で過ごし、滞在時間が長い。それが物販の売り上げにもつながった」(青木太郎総支配人)という。

街作りに貢献

 昨年11月22日に開業した渋谷パルコ(地下1階~地上10階)は郊外のグランベリーパークと異なる大都市中心部に立地し、敷地や建物の面積も同SCに比べて小さい。中心ターゲットも「ファッション、カルチャー好きの高感度層」で、子育てファミリーを中心に幅広い層を対象としたグランベリーパークと違い、MDも異なる。

 しかし、行政と連携した旧施設の再開発事業で「新たな街作りへの貢献を重視した」(牧山浩三パルコ社長)点や食、エンタメ施設の充実、独特の空間演出などで「街歩きのような楽しさを出した」点で共通する。以前の二つの建物(旧パート1とパート3)を一体で再整備し、2館の間にあった道路をイベントもできる共用通路にした。スペイン坂との立体街路も設けて街とのつながりを意識した作りにし、屋上を含めて屋外広場も充実した。

 1階に集めた海外ラグジュアリーブランドを含め、各店の店作りも個性的だ。大半の店舗が同館向けの店装やMDを取り入れ、ブランドの「世界観」も出した。バーや立ち飲み居酒屋などの飲食店と中古レコード店、下着店、パルコ直営のギャラリーなどを融合させた地下1階を中心に、「館全体にカオス(混沌)な雰囲気を出したことが来館する楽しさにつながっている」。同社の強みであるデジタル技術もふんだんに取り入れて新しいゾーンを作り、アート・カルチャーの発信、東京都や渋谷区との連携も含めてインキュベーションへの取り組みも強化した。「情報発信を重視している」ため、「売り上げ拡大は追求しない」が、年間売上高計画200億円の達成に向けて「順調」だ。

 ECの拡大や少子高齢化などSCを取り巻く環境は大きく変化し、従来型の施設作りでは通用しずらくなった。そのなかで、この2施設は特徴のあるMDや行政・地域と連携した街作り、「時間消費」機能の充実を軸に「リアルならではの楽しさ」をそれぞれのコンセプトに合わせて追求し、開業間もないとはいえ、成果を上げている。2施設と同じ施設は作れないが、今後のSC開発のヒントはある。

有井学=本社編集部SC担当

(繊研新聞本紙20年2月3日付)

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