スノーピーク/三越伊勢丹 販売員によるオンライン接客 リアルと同じ体験を

2020/08/16 06:30 更新


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《販売最前線》販売員のオンライン接客 リアルと同じ体験を 気持ちに寄り添った応対=スノーピーク/オーダーへの不安を解消=三越伊勢丹「ハイ・テーラー」

 新型コロナウイルスの終息が見通せない中、オンライン上でもリアル店と同水準の質の高い接客を提供しようとする動きが出てきた。従来のデジタルサービスと異なるのは、実際に店頭に立っていた販売員が対応していること。リアル店の経験で培われた接客ノウハウを生かし、客の満足度を高めている。

(杉江潤平、松浦治)

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スノーピーク

気持ちに寄り添った応対

 スノーピークは5月2日、直営ECサイト内でチャットサービス「オンラインコンシェルジュ」を始めた。カスタマーサービスプラットフォームの「ゼンデスク」を導入し提供できるようにしたもので、購入検討中の客が無料で問い合わせできる。緊急事態宣言中は自宅待機していた106人の販売スタッフがシフトを組み、毎日15人が常時対応した。

「オンラインコンシェルジュ」の告知画面。販売員の顔を出し親近感を演出

 一般的なチャットサービスでは専門部署のスタッフが担当し、細かいことを聞いてもしゃくし定規な内容しか返答されないことがあるが、スノーピークでは普段店頭に立つ販売スタッフが応対し、実店舗と同様の親身なやり取りを実現している。

 例えば、焼き肉バーナーの鉄板部分の手入れ方法を聞く質問には、「利用直後のまだ熱い時に割りばしなどでコゲを取ると洗いが楽になります」「金だわしで洗うと表面が削れてしまうのでNGです」といったように、商品ページの説明文には載らないが、ユーザーが気になる点を突いたアドバイスをしている。

 こうした客の気持ちに寄り添った丁寧な応対は好評で、近隣に店舗がない地方ユーザーからは「スノーピークスタッフに直接質問できるのがうれしい」といった感想が寄せられた。リピーターも現れ、中にはスタッフを指名する客もいるという。

チャットの対応例。ここでのやり取りが発展し、来店へつながるケースもあった

 サービス開始から6月末までの応対件数は2000件で、一時アカウント数が足りない状況も生まれた。購買転換率は5、6月平均で約20%。客単価はECのセルフ販売では1万6000円なのに対し、同サービスを利用した客は3万8000円と明らかに伸びた。

 チャット特有の難しさもある。このサービスで問われるのは、応対のスピード。文字起こしや問い合わせ内容の調査に手間取り回答に時間がかかると、すぐに退出されてしまう。そこで同社では聞かれやすい内容に応じた定型文を準備。たとえ短文でも、まずはリアクションを取るよう心掛けた。

 スタッフ同士のチームワークも必要だ。チャット内容は応対者以外のスタッフも閲覧できる仕組み。シフト勤務中のスタッフは、パソコンの画面上でオンライン会議ツールも並行して開き、回答やリアクション内容も皆で検討し、会議ツールのチャット機能で知恵を出し合える。

 「シェラカップの大きさは?」といった珍しい質問が届くと、スタッフは総出で調査を開始。この場合は、手元にメジャーを持っていたスタッフがすぐに測り、測っている写真とともに皆に共有した。こうしたやり取りを積み重ね、スタッフは経験を積む。

 スノーピークでは実店舗の営業再開後も同サービスを続けている。チャットでは在庫の有無や入荷時期、メンテナンスに関する問い合わせが多く、「お客様は意外にも、ささいなことで困っていたことが分かった」(植竹位悟営業本部直営店舗部シニアマネージャー)からだ。「これまでフォローが行き届いていなかった」反省に立ち、アカウント数こそ5に減らしたものの、今も30人のスタッフでシフトを組み、サービスを提供している。

「チャットサービスはユーザーとの新たな出会いを生むきっかけになった」というスノーピーク表参道の鳥越敬仁店長。在庫の有無や入荷予定をよく聞かれたため、シフト中は該当データをあらかじめ開いていた

三越伊勢丹「ハイ・テーラー」

オーダーへの不安を解消

 三越伊勢丹のオンライン完結型のパターンオーダー(PO)サービス「ハイ・テーラー」は6月10日から、スーツの取り扱いを始めた。19年10月のシャツに続く第2弾で、これまで百貨店に来店していなかった20~30代の新規顧客を開拓するのが狙い。シャツ同様に、伊勢丹メンズ館での販売データや接客ノウハウを生かした新たな購買体験を提供する。

 スーツの販売に合わせて、オンライン相談会サービスを6月12日から始めた。新ECの立ち上げ後、オンラインと並行してリアルでの顧客接点を広げるため、IT企業などを対象に販売会、体験会を実施してきた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、リアルでの販売会を取りやめたのを契機に、オンライン接客を試験的に導入した。「購買でなく、オーダーサービスへの不安解消が目的。使いやすさやコンテンツを知ってもらうことが第一」(MD統括部デジタル事業グループ計画推進担当の横山達也ハイ・テーラーリーダー)と顧客接点の一つとし定着化させる。

 オンライン接客はビデオ通話システムのZoomを使い、実際の生地選び、採寸方法、スタッフによるアドバイスなどを画面上で体験してもらうもの。スマートフォンでの採寸や簡単なカスタマイズができる手軽なオーダー体験の場をオンラインで提供する。自動採寸による自身の正面と側面の2枚だけで最適なサイズの測定、三越伊勢丹の蓄積した販売データを基にした標準のデザイン・仕様をセットし、オーダー初心者が気軽に購入できるように仕組みを整えた。

写真2枚を撮影し自動採寸で測定

 事前予約制で、接客時間は約20分が目安となる。伊勢丹メンズ館で販売経験が豊富なスタッフ4人が接客しており、リアルと同様のサービスが受けられる。生地選びに関する相談が多いが、「欲しいけれど、何がひっかかって購買に至らないか知る機会になっている」(関龍太ハイ・テーラー担当)という。相談件数は想定を下回っているが、SNSなどを通じて新たなサービスを浸透させていく。

オンライン相談会

 ハイ・テーラーのスーツは、オーダーの知識がなくても気軽にカスタマイズできるのが特徴だ。働き方の多様化でスーツを着る機会が減っているが、「良質な一着を気軽に」をコンセプトにしたオンライン完結型のサービスを提供する。パターンデータはジャケットで500種類、パンツで60種類を用意し、クラウド上の3万通りの組み合わせの中から最適なサイズを選定する。生地は〝きちんと見える〟を意識して定番の90種類を揃え、別注は葛利毛織工業に委託する。ディレクターはエンリコ・メッツァードリ氏(伊)を起用、生産はセンチュリーテクノコア弘前工場に委託する。3万5000~7万5000円で、中心が4万5000円となる。

きちんと見えるスーツをラインナップ

(繊研新聞本紙20年7月15日付)

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