「2月は例年の3倍ぐらいの仕入れになった。過去にはなかった量」と話すのは在庫処分業、shoichi(大阪市)の山本昌一社長。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響でアパレルなどから売り込みが増えたためだ。アパレルのインフラの一部になりたいとの思いで、「買える余力があるなら」と仕入れ続けたところ相当な量になった。3月の仕入れも高水準だったという。同社の在庫は常に平均100万枚から150万枚を数える。これまで仕入れ先のメーカーの希望に応じた販路、売り方で成長してきた。
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新型コロナの影響が出始めた2月は、中国などで既に生産した商品が納期遅れとなって店頭販売できないものや、中止になったファミリーセールの在庫の依頼が増えた。経験したことがないパターンの仕入れという。3月も同様に買い取りは多かった。「セールの中止は別として、一度も店頭に出ることがなかった商品を買うのは本懐ではない。悲しい」と山本社長。
手持ちの在庫量は大幅に増えたが、自社のオンラインと国内外のリアル店舗での販売は他社同様、振るわないから「いい状況とは言えない」。マレーシアの5店も臨時休業したままだ。
販売拡大の策も、環境が環境だけに「あまりない」。しかし、雑貨チェーン店やスーパーの食料品売り場でアパレルの委託販売をしている。アパレルを扱いたいが仕入れリスクを避けたい異業種に1000円均一などの商品を1、2ラック置いてもらっている。「アパレル店は閉まっているところが多いが、食料品売り場は開いている。新たな販路になる」
実店舗の臨時休業やECの苦戦など苦境が続くが、「コロナを言い訳にしたくない」。経済停滞も長引くと、経営者も何か新しいことをやろうというマインドが生まれやすいため、「我々にとってはチャンスと捉えたい。いろんな提案ができれば」。従業員には、粛々ときちんと真面目にしていこうと伝えているが、社長自身は「先のことを考えたら怖くなるだけ。もう、気合しかない」と語る。