国際素材見本市プルミエール・ヴィジョン(PV)のフロランス・ルッソンCEO(最高経営責任者)に、2月11~13日に開かれるPVパリ2月展の見どころを聞いた。
(パリ=松井孝予通信員)
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――PVパリ2月展の特徴は。
PVパリは年2回の開催を基本とし、それぞれ異なる特徴を持たせながら相互に補完し合う内容となっています。今回の2月展から、そして今後の全ての2月展で、「サヴォワールフェール」(匠の技)がテーマの中心となります。
このテーマのもと、春夏コレクションが発表され、現代的なものから伝統的なものまで、多様なサヴォワールフェールを紹介します。素材やデザインの進化に焦点を当て、最先端の技術やクリエイションの革新を探る場ともなります。
――その理由は。
ファッション産業は今、大きな変革の時を迎えています。ブランドやクリエイターたちは、循環性や再生の概念を取り入れ、持続可能な物作りへとシフトしています。小規模生産や代替プロセスの導入、時間をかけた創造を重視する動きが加速し、新たなクリエイティブ表現やライフスタイル提案が求められています。
こうした流れの中で、サヴォワールフェールは単なる技術の伝承にとどまらず、文化・経済・革新の要素を兼ね備えた、新たな価値を生み出す源泉となっています。そのため、私たちはこのテーマを中心に据えました。
フォーラムやカンファレンスでは、業界のキーパーソンたちが多角的な視点からサヴォワールフェールの魅力を発信します。プレタポルテからラグジュアリーまで、あらゆるカテゴリーで、影響力はさらに高まっていくでしょう。
――PVパリにおけるサヴォワールフェールの定義とは。
PVパリでは、サヴォワールフェールを、単なる伝統技術の継承にとどまらず、革新性や持続可能性を取り入れ、進化し続けるものと位置づけています。職人や企業が培ってきた技術を尊重しながら、新たな視点を加え、未来へとつなげることが重要だと考えています。
――2月展の展望は。
今後、2月展で継続する中心テーマのサヴォワールフェールは、歴史を持ちながら未来志向であり、文化的でありながら常に進化し続けるものです。経済的な価値と無形の価値、革新と継承の両側面をあわせ持つこのテーマを通じて、私たちは国境や世代の垣根を超えた対話を生み出し、多様な視点を交差させる場をつくりたいと考えています。
サヴォワールフェールを単なる過去の遺産としてではなく、未来を築くための重要な要素として捉えています。これからのファッションにとって、職人やクリエイターの存在は欠かせないものとなるでしょう。