高級服地とスーツの製造販売の御幸毛織は三重県立四日市農芸高校と共同で、ウールの廃材を畑の土に混ぜて栄養分として有効活用する「ウールアグリ共同研究」を行っている。
同社は四日市工場で服地を製造する際に生じるウール廃棄物の有効活用を、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から模索していた。そこでウールには野菜の発育に必要な成分の窒素、リン酸、カリウムを多く含む点に着目し、実験を開始した。
21年春から工場内の畑で試験的に野菜を栽培。実の大きさや色、味で効果が確認できたため、四日市農芸高校に実験データを共有し協力を得た。21年7月から上田圭祐教諭の指導のもと、同校に隣接する農場で本格的な試験栽培を開始。生産技術コースの実習授業として行った。
栽培したのは白菜、ブロッコリー、大根など。土のみの栽培と、ウールと土を混ぜた栽培で比較したところ、色づきや大きさ、成育の早さに違いが現れた。ウール入りの土は、土中の微生物がウールを食べ、しっかり分解され栄養分として機能しているとの評価を得た。
生産技術コースの2、3年生を中心に10人が野菜の栽培を担当し、御幸毛織の社員も11人が参加した。
収穫された野菜は参加社員が試食し、農産物の販売所みのりの丘マーケットで販売する。同社としては22年末に一定の研究成果の発表を予定している。その成果を踏まえ、地域で循環できるような環境配慮型の新規事業を模索する考えだ。