百貨店やファッションビル(Fビル)の上層階のレストラン街を歩くと、長らく閉鎖していた区画が埋まり始めている。酒類提供や営業時間の規制があったころは、物販店以上に飲食店の空き区画が目立ち、訪れるたびに増えていた。〝行動制限〟が解かれて外出需要を見込んで、出店意欲が戻ってきたのだろう。
飲食店の夜の利用はまだまだ少ないと聞くが、昼食時には行列が出来るようになった。特に休日は行列待ちの店が多い。飲食部門の売り上げは19年度実績に届いていないようだが、物販はコロナ禍前の実績近くまで戻ってきた。百貨店の5月の売り上げ(速報値)をみると、インバウンド(訪日外国人客)を除く国内売上高が19年度比で2ケタ増となった店もある。
ただ、入店客数は戻っていない。「客数が戻らない分、買い上げ率や客単価は19年度と比べて高く、目的来店が多い」とあるFビル。百貨店ファッション部門の営業担当者も「これはリベンジ消費なんでしょうか」と不安気だ。外出機会の増加は、ファッション消費が増える要因ではあるが、一方では消費先の選択肢も増える。物価上昇も気になる。
異業種や同業他社に負けない魅力ある商品・サービスの提案を追求し続けること、長期的な売り上げや集客につながる〝のれん〟を目指すような取り組みが欠かせない。