紡績の24年3月期決算は、繊維事業の苦戦が目立った。12月期決算の日清紡ホールディングス(HD)を除く6社のうち5社が減収。損益は1社のみ増益で、2社が減益、3社が赤字となった。主戦場の国内アパレル市場は、コロナ禍明けの消費回復から一転、全般的に低調で受注が伸び悩んだ。原燃料高はもちろん、海外から原材料の仕入れが多い繊維事業は円安の影響も大きく、損益を押し下げた。
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顧客の在庫調整響く
ダイワボウHDは、合繊・レーヨン部門がフェイスマスク・制汗シートなどの不織布製品で販売を増やしたが、損益は苦戦。産業資材は建築シート、ベルト関連が堅調だったが、カートリッジフィルターは需要の回復が遅れて伸び悩んだ。衣料製品は国内アパレル向けは堅調で、価格転嫁によって損益も改善した。