コロナ禍のダメージや後継者不足などにより、存続の危機に立たされている国内の繊維産地企業。停滞・鈍化する現状から脱するための行動を、各企業が取り組み始めている。産地の持続もそうだが、取り組みの根底にあるのは、〝良い物を作っている〟という物作りに対するこだわりや誇りであると感じる。低価格指向からの脱却が呼びかけられている昨今、産地企業のクラフトマンシップを消費者に認知してもらい、ストーリーと品質の両面で需要を獲得していくことが必要だ。
産地内での模索
「商品の出し方を考えていかないといけない」と話すのは、遠孫織布の遠藤由貴社長。遠孫織布は、主にシャツ地に用いられる先染め織物「播州織」のメーカーだ。播州織を手掛ける各社が出展する地域ぐるみのイベント「播州産地博覧会」(播博)への参加や、ライブコマースを利用したオンライン商談などに挑戦し、販路拡大を目指す動きを活発化している。現在は国内のデザイナーブランドを中心に引き合いがあるが、遠藤社長は、「製品の前段階である生地販売の視点だと、最終製品を手にする消費者の絞り込みが難しい」と話す。展示会などの交流の場ではアパレル企業や消費者とも積極的にコミュニケーションを図り、新たな販路への糸口を探す。
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