コロナ禍でどうする?インポート専門店の買い付けの現状と対応策

2020/09/22 06:29 更新


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 新型コロナウイルス感染拡大は、インポート専門店の品揃えに大きな影響を与えている。8月下旬は通常なら今秋冬の新作を増やしていく時期だが、多くの店舗がコロナ禍で品揃えを変更。海外買い付け再開の見通しも不透明な中、仕入れや品揃えの現状と対応策について、東西4店のインポート店に聞いた。

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◇全体の仕入れ減らし一部オンラインで発注

セブンティ

 専門店のスミノが東京の玉川高島屋SC内で運営するセブンティは、イタリアからの直輸入品を軸に、数十ブランドをミックス提案するインポートメンズセレクト店。1月と6月にフィレンツェのメンズ総合見本市「ピッティ・ウォモ」と、ミラノのショールームを回り、現地で買い付ける商品で店頭の25%を構成。残りは日本の代理店やインポーターで仕入れている。

 今秋冬物は1月の買い付けや発注業務までは順調に終えたが、新型コロナの影響で約1割が入荷できなくなった。家族経営のメーカーが多いため、生産を中止しているのか連絡が取れなくなったり、発注したうち8割がキャンセルになった取引先もある。ただし日本に代理店がある場合、手持ちの在庫で補充してくれるので、営業上の問題はないという。今春夏物で3月の入荷予定が6月にずれ込んだ靴のブランドもあるが、秋の新商品として出すことにした。

 問題は6月に渡航できなかった21年春夏物で、現地買い付けの8ブランドは休止。ストールは今春夏の在庫で補い、量の少ないベルトは補充せず、全体の仕入れを減らす方向で検討中だ。日本にはない刺繡入りのTシャツやポロシャツなど、店の看板商品は「無いと厳しいので、資料やデジタルの画像を見て、販売実績のあるデザインで素材を変えた新作などを発注する予定」だ。今春夏はテレワークが浸透し、アウターもカジュアル化が進んだため、代理店やインポーターの展示会で、白い麻のニットやシャツのジャケットなどは今年並みに仕入れる計画だ。

 来年の1月もピッティの開催は不透明だが、「秋冬物は素材など手に取って直接、見ないとオーダーしにくいので、展示会がなくても渡航ができたら買い付けに行きたい」と考えている。

 4月8日から1カ月強の臨時休業で売り逃しが多く発生して目下、対応に追われているのが今春夏物の消化問題。6月からセールを開始し、7月は50%、8月は60%と割引率も時期も異例ながら、現金化を進めている。

例年と違い、お盆を過ぎても高額なインポートの春物を大幅に値下げして販売を継続

◇入荷に遅れ、国内ブランドで代替

リトルハピネス

 東京のJR目黒駅の近くにあるリトルハピネスは、欧州で買い付けた作り手の顔が見えるブランドを軸に、上品で個性的な着こなしを提案する婦人服主体の洋品店。毎年2月と7月末~8月上旬に渡欧し、小さなアトリエやショールームを巡り、デザイナーと商談して仕入れた商品が3割を占める。

 今年の2月は、今秋冬物の商談と今春夏向けの現物の買い付けで、パリとスペインを回った。夏までは通常の品揃えを保て、初めて買い付けたバルセロナのデザイナーのブランドも新商品として紹介できたが、今秋冬物は仕入れに影響が出ている。

 海外商品は現地で商談後に日本で検討してから発注しているが、3月にイタリアの新型コロナウイルスの感染拡大状況を見て、イタリア産のブランドは発注を見送った。フランスの「アンヌ・ウィリ」は発注後、入荷が1カ月ほど遅れると言われたがキャンセルできず、「ドレスやパンツが5万円前後なので見せる期間が短いと不安だが、10月半ばに入荷の予定」だ。フランスの「マポエジー」のストールも生産が遅れ、入荷も2週間ほど遅い10月にずれ込んだ。

 今秋冬は海外仕入れの新作は2ブランドだけで、インポートの在庫を織り交ぜつつ、国内ブランドも仕入れを3割減らし、在庫の消化と利益率向上、売り上げの維持に挑む。8月下旬から晩夏初秋物として、4月の休業中に売り逃したブラウスやロングカーディガンを投入。プリントや色使いが個性的なインポートの代わりに、デザインを楽しめる「ディウカ」「ジュン・オカモト」「マヌカンズ・ジャポン」などを提案。国内ブランドは、このほかコーディネート用の素材にこだわった商品、定番人気のボトムの色別注など役割を分け、バランスよく揃える。

 今夏は海外に行けないため、来春夏物は仕入れを2割減らして国産中心の品揃えにし、今月末から国内の展示会を回る予定。欧州の空気を感じられる点が店の魅力なので、可能なら来年から海外での買い付けを再開したい考えだ。

秋の立ち上がりは国内ブランドで提案(「ヴェントリロクイスト」のレザージャケットと「スリウム」のジャカードの巻きスカート)

◇無理に増やさず顧客に合う提案

リコルヌ

 京都市北区の北山通りにあるリコルヌは、働く女性をターゲットとして、価格バランスの取れた上質服をセレクトする。手頃な価格に抑えるため、田中弘美オーナーがフランス、イタリアに出向き、直接仕入れた物が大半を占める。

 秋冬物の仕入れは欧州各地でロックダウンされる前の2月に終えていたが、発注した品番の7割以上がキャンセルされたものもある。田中オーナーは「今後、どれだけのキャンセルが起こるか、発送前のインボイスを見るまで不明」と不安を隠せない。ただし商品量が通常より少なくなっても、それを無理に埋めない方針だ。店の方向性に合わない半端なバイイングは失敗すると考えるからだ。

 渡航できない現状のなか、来春夏物は「全く見通しが立てられない」。既知のブランドはオンライン展示会などでカバーするが、試着できないことに一抹の不安がある。「事前にパターン帳と生地見本が送られてきたブランドは、発注が増えることになりそう」だ。国内輸入卸や国内メーカーで自店の空気に合う新たなブランドを探しつつ、入手できた商品の中から、顧客の嗜好(しこう)と生活に見合うスタイリング提案を強めるしかないと考えている。

顧客への信頼、提案強化で商品不足を補う

◇国内ブランドの比率上げカバー

メゾン・ド・マーロ

 兵庫県西宮市の住宅地にある婦人服のメゾン・ド・マーロも、リトルハピネス同様、欧州の空気感が共有できる店であることをモットーとする。

 今秋冬物の仕入れは、入国できなかったイタリア以外での仕入れは済ませていたので、販売への影響は少ない。しかし全く渡航できない現状で来春夏物への影響は避けられず、国内ブランドの比率を上げることでカバーする。

 大島正幸代表は、できるだけ国内の展示会を多く見て回りたいと考えてはいるが、これまで海外での仕入れが多かった分、国内アパレルの情報が少ない。同時に国内アパレルの情報発信が弱いとも感じている。「国内アパレルは、展示会やブランドの世界観や商品特徴の情報を、もっと専門店にアピールしてほしい」と願っている。

「国内アパレルは専門店にもっと情報発信を」という

(繊研新聞本紙20年8月27日付)

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