化粧と役者と日本映画(宇佐美浩子)

2017/10/08 04:25 更新


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❝好きな役者って誰ですか?❞と問われたなら「答えに悩むかも」なんていうこと、ありませんか?

時に同一の役者とは思えないほど、演じる役柄一つで全くの別人になってしまう「役者の中の役者」もたくさんおいでのわけでして。

そんな役を演じる者にとって、言うまでもなく衣装やメークはとても重要!

だからこそ、「シネマの楽しみエトセトラ」ともいうべき、エンドロール凝視派の私としては、ファッションやコスメのブランド名が並ぶ、わずか数行もしっかりと、見逃したくないのです。


たとえば今回の「CINEMATIC JOURNEY」の主役となる作品『ナラタージュ』をはじめ、昨今、目にする頻度が増加傾向にあるコスメのブランド「ACSEINE(アクセーヌ)」。

そもそもブランドのはじまりでもあるという、そのユニークなネーミングとは。

❝化粧品による肌悩みの研究をしていた皮膚科専門医のチームが共同開発を開始。
アレルギーの原因であるアレルゲン(かぶれの原因物質)を追求し、
それを日常生活から取り除き、再発を防ぐという理論により、治療補助システム
『Allergen Control System=皮膚炎再発防止機構)』を確立❞

つまり、その頭文字をとって命名されたのだそう。

よって日本映画の撮影現場では、厳しいスケジュールをこなす役者さんたちのお肌の良きサポーターであり、かつまた愛用者も多々おいでとか。

そうしたブランドにまつわる話をPR担当者から伺っている最中、しばしば耳にしたことがある話題が登場。それは日本古来の伝統的美容法、「シェービング(顔そり)」

化粧のりを良くするだけでなく、お肌にも有効的なのだという。

気づけば昨今、街中のバーバー(理髪店)でも女性専用ルームを設け、メニューに「レディースシェービング」の文字を見かけることがある。

そこで早速その魅力を探りたく、前述のコスメブランド同様「ピアスグループ」のレディスシェービングサロン「fini(フィニ)」へ出向くことにした。

というのも、一昨年開催された「日本美容皮膚科学会総会」にてシェービング施術による肌変化の検証結果についての同社研究所が発表をされたから。



❝シェービングは主に、顔のうぶ毛を剃る事を指します。
また一般的に、日本人の毛の色素は黒や茶となるため、いわば顔に黒いヴェールがかかったかのように、くすんで見えたり、暗い印象になりがちです。
そこで、顔のうぶ毛をシェービングすることで、驚くほどトーンアップし、透明感があがることが期待できるのです。
さらにメークのりが格段に良くなるため、古くから役者さんや芸者さん、また結婚式前の準備の一環としてご体験なさる方が多いですね❞

「なるほど、そういうことかぁ」と思うことしきり。

❝人間の皮膚は日々生まれ変わっていますので、古い角質が溜まりがちなのです。
またエイジングにより排出機能も衰えるため、よりそうした傾向が高まり、
古い角質の蓄積がターンオーバーを停滞させ、肌のざらつきやくすみ、乾燥の原因の一つにもなりかねないわけでして。
つまり、そうした状態の肌の上から、うぶ毛と不要な角質を取り除くことで、ベースメイクの密着感や仕上がりの美しさ、また潤いやハリ・ツヤ感を、新たに実感できるというわけなのです❞

ということで、ややドキドキしつつも「女優肌」に挑みたく、いざシェービングデビューへ!


まずは念入りなお肌のウォーミングアップ(クレンジング、トリートメント、角質層への水分補給)を経て、いよいよシェービング。そしてもちろんアフタースキンケアも万全という、ほとんどフェイシャルトリートメント気分の約75分後。ビフォー/アフターの素肌のツルリ感に違いが…

❝やっぱりこの全プロセスがあってこそ化粧のりに差が‼❞(と、心の声が聞こえる)

というわけでそろそろ「化粧と役者と日本映画」がテーマの今回の「CINEMATIC JOURNEY」。その主役である映画『ナラタージュ』をご一緒に。


2006年版「この恋愛小説がすごい!」No.1を獲得した原作『ナラタージュ』を、主演に「嵐」の松本潤、そしてヒロイン役に有村架純を迎え、

恋愛映画の名手と称される行定勲監督(『世界の中心で、愛をさけぶ』)により、映画化が実現!

劇場に向かう前に、少しばかり物語のポイントを。

演劇部の顧問を務める高校教師、葉山(松本潤)が救った、一人の孤独な女生徒、泉(有村架純)。

その出会いから心の交流を深め、成長を遂げた泉は大学へと進む。そんなある日、葉山から部活の誘いの電話により、OGとして再会することになる。そして切なきラブストーリーが開幕に…


ここで、本作をファッション的視点から楽しむためのワンポイントレッスンをシェア!

一枚の布からはじまる様々な表現を構築、提案することで知られるファッションクリエイター、伊藤佐智子による本作の衣装。ちなみにその才能は、衣裳デザインをはじめ、商品開発から、空間デザインに至るまで、ジャンルを越えたコンセプチュアルワークと幅広い。

そこで気になる主演二人の衣装について、次のように語られた。

❝松本さん演じる葉山は、何を考えているか分からず、曖昧な内面を持っているので、
衣装はグレーと茶ベースのくすんだ色みにしています。
一方の有村さん演じる泉は、ブルーが多いのも、葉山とのバランスを考えて…❞

(本作PR担当者談)

衣装や色が演出する作品の空気感というのは重要だと常々思うのだが、本作もしかり!

なお衣装同様、作品全体を通じてキーとなるようなシーンに登場する「雨」。

そのどことなくメランコリックな印象の映像も忘れがたい。


ナラタージュ

10月7日(土)全国ロードショー

(C)2017「ナラタージュ」製作委員会

配給:東宝=アスミック・エース


「化粧と役者と日本映画」をテーマに、寄り道的話題をシェアしつつご紹介している「CINEMATIC JOURNEY」。そのゴールとなるのは、やや趣の違いが魅力の日本映画『74歳のペリカンはパンを売る。』

と、その前にここで少しまた立ち寄りたい場所がある。それはこの8月末にオープンし、話題を呼んでいる下町情緒あふれる蔵前駅からすぐの「ペリカンカフェ」。

日々「sold out」という、予約必須で有名な1942年創業の老舗ベーカリー「パンのペリカン」のオフィシャルカフェとあり、その注目度はかなりのもの。(カフェは予約不可のため覚悟して挑戦のほど) 王道の炭焼きトーストは、シンプルで。

©husami

ということで、本題の映画『74歳のペリカンはパンを売る。』とは、まさに前述のベーカリーが主役のドキュメンタリー。

で、「なぜ『化粧と役者と日本映画』がテーマなのに?」と思わるかもしれないが、実はその昔「化粧=おしろい(白粉)」というイメージが定着していた、なんてことをご存じの読者はどれほどいるだろう?つまり本作は「小麦粉(=白粉=化粧)とパン(=役者)と日本の食文化」といったところかなぁと、試写を拝見しながら密かに思いめぐらせてしまった次第。

それは英語のタイトル『Pelican:74 Years of Japanese Tradition』からも連想できるのでは。


そして特筆したい本作の魅力というのは、どんな業界であれ、プロフェッショナルと呼ばれる所以、即ちモノづくりの本質は変わらないということだ。

それはファッションであれ、映画であれ、食であれ、「誰かが幸せに思える瞬間」がイメージできることではないかと思う。私自身もそうした思いを常に抱きつつ、ライフスタイルという視点で映画の魅力をシェアしていきたいと思っている。

ペリカンは人々が生きていく上で大切に思うこと、即ちごくシンプルに、だからこそこだわりが詰まったパン作りを通じて共有し続ける醍醐味。そんな80分の東京発「CINEMATIC JOURNEY」だ。


『74歳のペリカンはパンを売る。

10月7日(土)よりユーロスペースにて、ほか全国順次公開予定。

©ポルトレ





うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中

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