シネマと夢とファッションと…(宇佐美浩子)

2015/03/08 13:56 更新



先ごろ発表された2015年第87回アカデミー賞にて、「博士と彼女のセオリー」で主演男優賞に輝いたエディ・レッドメイン。

ロヤルブルーとも例えたい「アレキサンダー・マックイーン」のスーツが、主人公スティーヴン・ホーキング博士の専門分野である現代宇宙論とクロスオーバーし、エディにより一層の輝きを与えていたような印象が。思えば彼も博士と同じケンブリッジ大学の出身だ。



 さて、世界的に知られる天才物理学者誕生秘話ともいえる本作はまた、スティーヴンとジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)のウィットに富んだカップルの深遠なるラブストーリーでもある。

ケンブリッジで出会った同窓の二人が交わすハイセンスな言葉のキャッチボールは、やがて恋になり、そして宇宙への夢をシェアする愛へと進化する。

と同時に、徐々に身体の自由を奪われしまう難病(ALS)を発症した彼との運命共同体として歩む結婚生活25年。その始まりと終わり。そして永遠の友へとカタチを変えていく二人のヒストリーは、強固な絆があればこそ成し得た偉業と称したい。

とりわけ女性なら、ヒロインの強靭な精神力とサポートに、脱帽するばかりでは。そして時に、主人公の生きる希望が照らすココロの成長に、観る者もシンクロさせられるような。

ちなみに、冒頭のオスカー受賞時のファッションチェックとは、やや趣が異なるが、ヒロインの青春時代からウエディングドレスあたりまでの「BRIT」なファッションが、たまらなくラブリー!


 
『博士と彼女のセオリー』
3月13日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開予定。
©UNIVERSAL PICTURES


ラブリーなファッションというキーワードが登場したところで、少しばかりファッション散歩的話題をご紹介したく。


 


 しばしば私的話題で恐縮ではありますが、個人的にもfamiliarな思い出のあるベビー&子供服ブランド「familiar」。

いつの時代も愛される定番チェックこと「ファミリアチェック」(勝手に命名)のワンピースやスカートを着用したキッズと街中で出くわす度に、子供ながらドリーミーな空間であった青山のショップが、なんとも懐かしく思い出される。

その銀座本店が昨年10月、移転&リニューアルオープンした。その1階に設けられたイベントスペース「CUBiE」での企画展は、不思議とオトナ心をも刺激する。

ちなみに4月1日まで開催中の「器から飛び出す図案展」は、国内外で活躍するアーティスト鹿児島睦を迎え、愛らしいオリジナルプリントのテキスタイル創作とインスタレーション、また花のブローチやトートなどの限定販売も行っている。


 


なお当展オープニングイベントの際、耳にしたファミリアの岡崎忠彦社長のコメント、「鹿児島さんのアートは、大人と子供の距離を縮めてくれると思う」に、私も同感!

なぜなら、鹿児島さんのライブペインティング開催中にキラキラとした眼差しで見つめる子供たちとともに来訪していた、何組もの親子連れの姿はまさにこの言葉通り。

だからこそ世代を超えて楽しめる空間で、感性を刺激してくれるファッションやアートとの出会いが必要であり、かつまた鹿児島さんのコメントにもあったが、「子供頃の記憶は大事!」なのだと思う。




 ここで再び、オトナのファッションに関するシネマの話題をひとつ。「ディオールと私」。


 

 
世界で名だたる老舗ブランドの一つとして、その輝きを失うことのない「ディオール」。

国籍を問わず、多くのレディたちのハートを射止め、またイザベル・アジャーニ主演の「炎のごとく」や、ロバート・アルトマン監督の「プレタポルテ」など、さまざまなシネマで女優たちをエレガントに輝かせてくれる永遠のスター的存在でもあると思う。

本作は2012年4月9日、ディオールの新たなアーティスティック・ディレクターとして就任したラフ・シモンズ初の、オートクチュール・コレクション発表までの8週間を追ったドキュメンタリーであり、かつまた1947年のメゾン設立以来、初の映画のカメラが入り撮影を許可された記念すべき作品でもあるという。



宝石のように美しいドレスが完成するまでに携わる人々のクリエイションへの情熱と、たくさんの夢が詰まったコレクション発表の当日を迎え、感極まるラフ・シモンズ。その表情に、観る者も共鳴するだろう。


『ディオールと私』
3月14日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
©CIM Productions  



うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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