アートというライフスタイル(宇佐美浩子)

2021/10/28 06:00 更新


Medium 6 shufu main

年間3桁は外すことなくシネマ鑑賞する機会を持続している筆者としては、折々のさまざまな心情でスクリーン(昨今はPCの画面)を見つめつつ、勝手なマッチングを思いついては、当「CINEMATIC JOURNEY」という旅を皆様と続けている。

そうした中、今月末まで開催中の「日本最大級」という枕詞付きデザイン&アートフェス「DESIGNART TOKYO 2021」をクルージングしつつ実感するのは、守るべきものの価値を再認識することの大切さだ。

たとえば、「自然美と持続可能性」のハーモニーに身を委ねることができる「BLOOM」(画像下)という名の屋外での使用を想定したレザー製ラグジュアリチェアは、美しい大輪の花をデザインしたオブジェと見間違えるほど。

だがその背景には、アジア的自然との調和を表現する建築家Johnny Chiuのデザイン、そして神戸レザー組合のメンバー、「スタジオ・キイチ」(神戸牛の選定と加工)と「永田良介商店」(1872年創業のオーダーメイド家具の匠の技)が三位一体となっている。

一方、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家エミール・ガレによりグリーンのボトルに描かれた、ゴールドの縁取りのアネモネが永遠の輝きを放つ老舗シャンパーニュ・メゾン「ペリエ ジュエ」(ペリエ ジュエ×Designart Tokyo 2021 | ペリエ ジュエ (perrier-jouet.com))。

1811年の創立以来、変わらぬ「自然とアート」への愛は、各時代を彩る国内外のアーティストとのコラボレーションにより継続していると聞く。その歴代アーティスト名が並ぶリストには日本のフラワーアーティスト、東信(あずままこと)の名も!

ちなみに今回は、「自然」を作品制作の軸とするオーストリアのデザインデュオ「ミシャー'トラクスラー」が、当メゾンとのコラボにより2015年に制作した「Curiousity Cloud Mobile」と、世界初公開となる「I am Nature」(画像下)の2つのインスタレーションを体感可能。

さらに、当イベントの期間と一部重なる会期の有名メゾンの展覧会も参加。

たとえば「ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO」で、来年3月6日まで開催のアート界のスーパー・デュオ、ギルバート&ジョージによるアイコニックな大型の3連作《Class War, Militant, Gateway (階級闘争、闘争家、入り口) 》。

また「GINZA MAISON HERMÈS Le Forum」では、70年以上のキャリアを誇る巨匠ジュリオ・ル・パルクの日本初となる個展「Les Couleurs en Jeu ル・パルクの色 遊びと企て」を、氏の制作活動の主たるテーマ「色」を主題に、11月30日まで開催中だ。

その他、随所で繰り広げられているバラエティーに富んだ試みによる「CHANCE!~かつてないチャンス~」の数々を、五感を駆使してお楽しみあれ!

というわけで、10月後半の「CINEMATIC JOURNEY」は、「アートというライフスタイル」をテーマに全国順次公開中の新作シネマをチェックしてみたく。

≫≫宇佐美浩子の過去のレポートはこちらから

まずは先日、当コラムにて紹介したジョニー・デップ熱演作『MINAMATA―ミナマタ―』の主人公、写真家のユージン・スミスにより収録されていた大量のオーディオテープ、およそ4000時間に及ぶ音声の発見から始まったというドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』。

Self-portrait, W. Eugene Smith,©1959 The Heirs of W. Eugene Smith.

アーティストならではの個性的パーソナリティーが魅力でもあるスミスが、家族や仕事関連にわたるさまざまな難題から逃避するがごとく、1950年代半ばから住んでいたというマンハッタンのロフトを舞台とする本作。

そこでは連日連夜、セロニアス・モンクを筆頭に著名なミュージシャンたちが出入りし、通常目にすることができない、特別な音楽時間が流れていた。時には公演前のリハーサルも…

そんな貴重なひと時をシェアすることを可能にしたのが、部屋中に録音用の配線を張り巡らせ、何千枚もの写真を撮りつづけたスミスの生きた証の一部だ。『MINAMATA―ミナマタ―』との2作ペアリング鑑賞も味わい深いのでは。

©1999,2015 The Heirs of W. Eugene Smith.

ジャズ・ロフト

Bunkamura ル・シネマ他全国順次公開中

配給 : マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム

アートというライフスタイル」をテーマに旅する、10月後半の「CINEMATIC JOURNEY」。

つづいての作品は、アイスランドの首都レイキャビックにある男女共学の家政学校に、焦点を当てたドキュメンタリー、その名も『〈主婦〉の学校』。

寮生活を送りながら生活全般の家事を実践的に学ぶことができる、いわゆる花嫁学校として女性を対象に1942年に創立。以降、改称や97年の男子初受け入れなど、伝統と革新の姿勢を保持し、現存する希少な存在となった「主婦の学校」(75年より「家政学校」へ改称)。

「Art de vivre」(筆者としては「暮らしのアート」的ニュアンスが近い表現かと)が香り立つ本校の内側を、スクリーンを通じ探訪しながら、人生の豊かさにつながるサスティナブルライフの知恵を学ぶ機会になるだろう。

ほぼ変わらぬ教育内容の一部を下記に;

☑基本~おもてなしや伝統料理の調理法(食品ロスの削減術なども)

☑美しいテーブルセッティング&マナー

☑衣類別洗濯法や正しいアイロンがけ

☑素材の理解と縫製技術(衣服の修理法なども)

「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから作成される、世界経済フォーラム公表のジェンダーギャップ指数ランキングにて2021年を含む12年連続男女平等指数1位のアイスランド(日本は156か国中120位、2021年)として注目のアイスランドへのオンラインツアー気分も味わえそう。

〈主婦〉の学校

シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

配給:kinologue

© Mús & Kött 2020

≫≫宇佐美浩子の過去のレポートはこちらから

うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中

関連キーワードレポートプラス


Bnr counter agreement
Bnr denshiban

この記事に関連する記事

Btn gotop