芳しき写真家のまなざし②(宇佐美浩子)

2019/09/19 06:00 更新


秋のシルバーウィークに合わせ、「芳しき写真家のまなざし」と題し、2週連続でご紹介しているスペシャルバージョン「CINEMATIC “PHOTO” JOURNEY」。

後半となる今回は、先週末にスタートし、11月10日まで開催中の「浅間国際フォトフェスティバル 2019  PHOTO MIYOTA」からスタート。

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上の作品をご覧になって、「なんとなく、このコラムで見覚えのあるような?」

そんな風に感じて下さったなら、筆者としては嬉しさのあまり、思わずハグしたくなってしまう!

なぜなら2016年3月にご登場下さったシャルル・フレジェの作品だから。

その際の印象として思い出されるのが、作品の被写体と撮影者であるフレジェさん、双方から発せられる熱伝導的何かによる相乗効果!?

そんな何かを期待して、今回も上記フォトフェスを訪れることにした。

そしてやはり…

文化人類学的、民俗学的見地から創作活動を続ける作家独自の個性あふれる最新作のシリーズ「CIMARRON(シマロン)」から厳選された135点の作品もまた、大きな積み木をちりばめたかのようなラビリンス風会場構成と共に、期待を裏切ることなく「ドキッと楽しい」何かを、観る者の多くとシェアさせてくれること間違い無し!だと思っている。


というわけで、長野県は浅間山麓に位置する「文化・高原公園都市」御代田町と、優れたビジュアルで人々に感動を与えることをミッションとする、ビジュアルコミュニケーションのエキスパート集団「アマナ」との共同開催により実現したアート写真の祭典こと「浅間国際フォトフェスティバル2019」。

初回は「TRANSFORM イメージの化学」をテーマに、メルシャン軽井沢美術館跡地に開館予定の「御代田写真美術館(通称:MMoP)」エリアをメイン会場とする「PHOTO MIYOTA」に加え、「PHOTO KITAKARUIZAWA」と「PHOTO KARUIZAWA」(10月1日~)、これら3つのエリアで作品を展示することとなる。

そこで、当コラムではそのメイン会場となる「PHOTO MIYOTA」にフォーカスを当てることにした。

ちなみに当フォトフェスは写真だけでなく、映像やインスタレーション、また雄大な自然を背景とする屋外展示など、五感を駆使して味わい尽くせる内容が魅力的だ。


たとえば上記の画像は、「鈴木崇の代表作『BAU』×SONYの最新撮影システム」によるインタラクティブな仕掛けの「YOU and BAU」。

ご覧の通り作品内のスポンジに、筆者も瞬時に参加できてしまう!まさに感動の体験が思い出の1枚となって「お持ち帰り」できるわけだ。


一方、かなり広範囲にわたる屋内外の会場内を巡る中、フラワーフォトと植栽によるマジカルな「写真植物園」に遭遇する。

そして園内にて、すぐさま目に入るのは、キービジュアルとなっているフィンランドのサナ・レートによる「顔面フラワー」男子の写真(上記左の画)。加えて世界初の写真集を刊行したイギリス人植物学者で写真家のアンナ・アトキンスの作品とつづく。

カラフルでシュール、そして時にアイロニカルな表現の写真の数々に、きっとドキッとさせられるはず。

さて、その上階に設置された「IMA cafe」(下の画像)も必見だ。

「コーヒーはアート!」と語るアマナ・コーヒークリエイター、中川亮太による「おいしい水に合わせて作った当カフェ・オリジナルの御代田ブレンド」や、コロンビアの特別なカカオで作った大人の「ホットチョコレート」。さらに地産地消ともいうべき御代田町で栽培されたレタスとブロッコリーを配合した、爽やかでクリーミーなジェラートもまたアートな一品としてカウントしたい!


そして本展の最初と最後の出会いとなるイギリス人写真家エドワード・マイブリッジによる連続写真は、「CINEMATIC “PHOTO” JOURNEY」そのものと言える。

なぜなら彼が1879年に開発したと聞く幻灯機のような装置ズージャイロスコープによる作品の数々が、後の映画の発明につながる一歩と言われているから。

それはまたかつて訪れた、リヨンのリュミエール研究所での一コマに通じる。


一方、ミラノでは現在、ファッションの祭典こと「ミラノ・ファッション・ウィーク」の真っ最中(~23日)。

それに伴い毎シーズン発表される斬新で感性豊かなビデオコンテンツもまた興味深いことを、ローマ的ファッションウィーク「アルタローマ」で出会った、映像関係に通じるイタリア人より紹介された。


そのビデオ制作を2016年から担当している「ザ・ブリンクフィッシュ」は、ミラノを拠点にファッションフィルムやミュージックビデオ、ドキュメンタリーやショートフィルムなどを主に制作する、12年に創業した新鋭企業だそうで、その実力のほどは国際的映画祭で獲得した数々の受賞歴からも伺い知れる。

そして今シーズンもまた「Hotel MFW」というテーマの下、マンダリン オリエンタル ミラノの客室を舞台に、ファッションウィーク前夜という設定で、ユニークな顔ぶれのゲストたちが繰り広げるストーリー性にあふれたビジュアルが、開幕前からワクワク感を誘っている。

そしてまたそのいずれもが「アート写真としての魅力を放つこと間違いない!」と…

動画でチェック!

≫≫https://vimeo.com/359552865

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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