エコログ・リサイクリング・ジャパン(広島県福山市)の繊維リサイクルプロジェクトが活況だ。ポリエステル100%の回収衣料をマテリアルリサイクルで樹脂ペレットにし、ボタン、食器といった成形品にする。設立約30年、サステイナブル(持続可能な)の機運の高まりで「ようやく日の目を見だした」(和田顕男社長)。
設立は94年。コート企画製造卸のワッツ(福山市)を母体に、東レなどが出資してスタートした。国内での古着リサイクルは、反毛わたや少量行われているケミカルリサイクルが知られるが、同社は合繊としては珍しいマテリアルリサイクルを手掛ける。
ユニフォームなどの回収衣料のうちポリエステル100%品を粉砕し、バッチ処理で熱で溶かして再生樹脂を製造する。染料が残った色付きの樹脂となるため、「使い勝手が悪い」と言われたこともあったが、近年は「ストーリー性が出る」と前向きに受け止められ、引き合いも増している。
実際の回収・再生をスタートした00年から初めの10年は右肩上がりだったが、「その後の10年は停滞した」。ここ数年、サステイナブルの流れが強まったことで多くの案件が持ち込まれるようになった。特にコンビニチェーンなどの採用が活発で、回収ユニフォームからボタンを作り、再びユニフォームに使用するといった例がある。鹿児島県の食品企業との取り組みでは、ユニフォームから箸を作り、給食で関わりのある学校に寄付するといった循環型のプロジェクトに採用された。
成形品用途以外にも、250、150、75デニールといった糸種で長繊維も製造、エコバッグなどを作った実績もある。酵素を使った技術で、綿・ポリエステルの分離も対応可能だが、コストが高く、採用例は少ない。またポリエステル100%以外は協力先で反毛などを行っている。
本社工場の処理能力は現在1日1トンだが、稼働アップで最大10トンまで可能で、需要に応じて拡大させる。今後はデジタル活用も進めていく構えで、石油由来のバージンとの比較で二酸化炭素排出を80%抑えられるメリットを可視化したり、トレーサビリティー(履歴管理)、ライフサイクルアセスメント(LCA)に関するデータを提供していく考え。